格闘ゲームのネット対戦はスーパーストIVで勿体無いと思ってやめた

俺はハイテクセガ難波アビオンでストリートファイターを遊ぶのが好きだった。

華やかな街の中のゲーセンで人だかりができてそこで勝つのは気持ちいい。

もちろん、そのために家庭用ゲーム機や田舎のゲーセンで練習に金を使った。

近年では家庭用ゲーム機とネット対戦の普及でゲーセンが下火になったり、そのため復活のためのコミュニティが頑張りだしたりしているが、俺はネット対戦はあまりしない。

最初に書いたように人だかりの中で勝ちたいのがひとつ。そのためには都会にゲーム機を置いて遊ぶための家賃をどうにかペイする必要があること。そして、負けたほうが払うルールのもとで強ければペイしなくても良いというルールが勝ち負けに重みを付けること。

それが家庭用ネット対戦だと、1プレイ100円換算で50プレイでソフト代、300プレイでゲーム機代、100プレイでアケコン代がペイできるわけだけど、スーパーストIVで俺は5プレイ目で10連勝した。その時点で相手が対戦のリクエストを送ってきていたが、勝ち逃げることにした。自分のほうが弱いなら1度対戦する毎に100円ペイバック換算で、ゲーム機台をペイした後は貯金換算とか50円ゲーセン、10円ゲーセン換算になる。しかし、自分のほうが強いと相手はペイしていないのに指導碁でもしているかのような感覚になる。

もともと俺は自分が勝てるゲームは100円ゲーセンでしかやらない。真剣にやっていたから、50円でジャンジャン入られて相手は500円しか使っていなくても、10連勝も真剣にやるとヘトヘトになる。やってられないといつからか思い始めたから。

もちろん、それは裏を返せば上手とやる時は料金の安いゲーセンの方がいい。かなり自己中な考え方かもだが、そうなるに至るまでいくら使ったかとか考えると、だんだん保身的になってきたんだよな。20代の頃は格闘ゲームを背負って立つくらいの勢いだったけど。

それで、ストIVのネット対戦をやめてから随分経ってアビオンでストIVの新しいバージョンで連勝していたヤンと対戦した。何キャラか試しながら連コイン1200円で勝った。俺が「格闘ゲームは結局運じゃないの」という話をしたのが広まって、じゃあやってみろ的な空気だったけど、何年も毎日そればっかやってる人が何年もブランクある上にそのキャラ相手するの初めてなのに負けてるわけだから、やっぱ運だと俺は思った。相手は肩落としていて話はしなかった。勝率92%は運じゃないという見方も分かるけど。俺が最後の試合でやったことソニックブームとサマーソルトとしゃがみ中パンチだけなんだよね。相手は色々やってたみたいだけど。

まあ、幹線道路脇やショッピングモール内のゲーセンでも開業資金は2000万円以上するらしいから、駅近繁華街のゲーセンで人混みの中で対戦したいって贅沢は下手をすると全国大会開催よりもお金のかかる夢で、ストリートファイターで100円玉何枚使ったかとか、吹けば飛ぶ。キャッチャーやカードゲームで回ってて、そういう人が鉄拳の立ち見客やってくれているという事情だからね。

そう考えるとやっぱネット対戦オンリーのゲームには魅力を感じないんですよ。

それよか、各所の大型ゲーセンのホームページから会社概要を見て社長の名前覚えてフェイスブックで家探すとか、ウメハラより大型ゲーセン経営者のほうが羨ましいかもだぜ。雇われ店長くらいで幅を効かせていた知り合いが田舎のゲーセンの経営改善を理由に左遷されてそれが嫌で辞めて自分の田舎に帰った話とかを聞いて、ゲーセン業界も大変だなと。

みんなでアケコン買ったカネを集めればゲーセン建つってことも覚えといて欲しい。

KOF'94餓狼チームでやっとこクリアした!

ストリートファイターIIの対戦は待ちハメ無しが議論されて当時のプレイヤーは聞いたことあったかもだけど、KOF'97くらいからゲーセンで対戦を始めたニューエイジカプエス2で何度かひどい目に合わされた。彼らは待つしハメる。

チーム戦で体力が引き継ぎ制であるがゆえ、2試合目以降は体力差が付いた状態で始まる。そうなると、負けた側は次のキャラが体力マックスで始まって相手は体力が減っているので、開幕からタイムオーバーまで待つだけでとりあえず敬遠して1キャラ減らすことが出来る。それにコンボゲージやキャラ相性を組み合わせて勝とうとしてくる。

KOF'94もその方法に則って、ブラジルチームのハイデルンとラスボスのルガールを倒すことが出来た。最初から最後まで待つってオモロイか?と思っていたが、負けるよりは勝つほうがオモロイ。テリーで減らしたハイデルン相手にアンディでひたすらガードしてクロスカッターでタイムオーバーまで削らせて体力勝ちして、ルガールもテリーで減らした体力をジョーでタイムオーバーまで守り、脱いだ後は一度均衡するもアンディで投げが一発通って、画面端々になると烈風拳を打ってきたので飛翔拳で相殺するとまた烈風拳に飛翔拳、烈風飛翔烈風飛翔と40秒くらいコマンドミス無く相殺したらタイムオーバー直前でゴッドプレスを出して飛翔拳に突っ込んでからカイザーウェーブを出してきてガードでタイムオーバー。クリア。

KOFのコンピュータはタイムが余っているときとタイムオーバー直前でロジックが違うところが面白い。

クリアしてみて「ああ、これだけのことだったのかも知れないな」と。

ストリートファイターIIの発売すぐから待ち戦略が強いのは常識だったけど、必殺技の削りが多く、歩き投げの間合いの広さや投げから投げハメに行ける攻めのシステムも強いからストリートファイターIIはそこそこバランスが取れていた。そこで出来上がった動きに乗っかるだけで深く考えずとも勝てることが多かったけど、負けた時にとにかく連コインで突っかかって冷静さを欠いていたこともあったっけな。

というか、ストリートファイターIIのコミュなら待ちハメはもちろんタイムオーバー狙いも「寒い」だった。強さを求めているようで実は人間関係に波風を立てない勝ちすぎず負けすぎずの馴れ合いであって、そこに属している以上は成長できない部分もあったんじゃないかなと。

そのへんはプレイヤーがそういう戦略を取るならKOF'96でガードクラッシュが付いてバグの取れたKOF'97で再び対戦が次の世代で盛り上がったように、プログラムに欠陥があるならメーカーがそれを直すまでその戦略で勝ち続けるタイプの人間がいても1年経てばまた関係性は変わっていったし、新作が出るのも毎年の楽しみだったな。

SDL MAMEでようやくネオジオが動くようになったぞ!

俺のマシンで動くようになっただけで世界的にはニュースでも何でもないけど。

久しぶりに遊びたいなと思っていたKOF'94をイタリアチーム(餓狼チーム)で。

思い返せばKOF'94発売当初はネオジオを持っておらず、ゲーセンでも数回止まり。期待していたけど龍虎の拳餓狼伝説よりキャラが小さく地味で味気ない。ゲーセン仲間はだいたいみんなクソゲーだと言っていて、俺も最初はハマらなかった。しかしネオジオを持っているやつは面白いという。なんだろうと思っていた。

後々に分かったことだが、コンピュータが単純なパターンではハマりづらく手強い。

バグ技や即死コンボがあるので、システムの穴をつくように攻略する人が多いけど、コンピューターは飛び道具を避け、投げハメを小技で返し、たまに相手から飛び道具を撃ち、待っているとステップで近寄って投げてくる。

これはつまり、AIとの対戦だ。

将棋や囲碁ほど複雑なゲームでないがゆえ、1994年の16ビットのコンピュータでも格闘ゲームのAIはここまで強く出来るかと。いや、そこまで強いわけでもないかもだけどさ、充分勝てるけどさ、強いんですよ。

単純に16キャラの餓狼伝説スペシャルを攻略するのは自分のキャラを決めて16通り攻略すれば良いけど、3キャラ8チームのKOF'94を完全攻略するには自分のキャラ3人で24キャラとランダムに対戦するので72通りのハメ方を知らないといけない。エースを決めて勝てるようになっても、ラウンドを落とすと自分の不得手なキャラで戦うことになるので、エースを先鋒にして負けるとなし崩し的にゲームオーバーになったりする。

そんで、他に気付いたことはアンディの昇龍弾とジョーのタイガーキックは両方とも対空技で昇龍弾が波動拳コマンドなのに対してタイガーキックは斜め上まで入れないといけないの、これ確実にタイガーキックのほうが弱いよね。コマンドは難しくとも極めれば同じになるという持論を持っていたことがあるけど、今から論破する。

まず、極めても1フレームコマンド入力時間が長いので発生が1フレーム遅いのと同じであること。昇龍弾は波動拳コマンドなので、入力の最後が歩きになり、そのコマンド最後の歩き部分と猶予フレームを活かして距離やタイミングの調整が出来る。それに対してタイガーキックはドンピシャで入力しないとジャンプしてしまう。だから類似の技でもコマンドが易しい方が強い。

今まで何となく俺の場合はテリー、アンディ、ジョーの順番のまま遊んでいたけど、ジョーを先鋒にしてテリーを中堅にしてアンディを大将にして遊ぶほうが良いかなとあらためて考え始めた。

なんか、対戦で人に勝つというのが主眼だった頃は人との勝ち負けとそれに伴う人間関係の序列しか眼中になくて強ければ何でも良いと思っていたけど、コンピュータを相手に色々のキャラでクリアしてエンディングとストーリを楽しむという遊び方もそれはそれで支持されているだろうし、そうしてみると今まで対戦だけでは気付けなかったことがどんどん分かるようになってゆく。コンピュータ相手なんだから勝っても負けても嬉しいとか悔しいとか誇らしいとか恥ずかしいって感情がわかない性格だったけど、自分で将棋のプログラムを組んでみて自分で戦うというような経験を得てから、世の中のゲームの色々なロジックに深い興味を抱くようになり、ついに最近ではコンピュータ戦のほうが面白いとまで思うに至った。

だけど、その分ちょっとさびしいの。


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