- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2007/03/07
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かけうどんに野菜のかき揚げとイカ天とおにぎりをひとつ。それで620円。
UDONという映画があります。
主人公のユースケ・サンタマリアが都会で借金を作って田舎に帰ってくる設定が、
ちょうど自分がやってしまった事に似ていて、かなり感情移入して見た覚えがあります。
もの言わずに仕事に打ち込んでいるお父さんがいいんですよね。
おやつに買っておいたドーナツがひとつ無くなっていて、親父が食べたんだろうけど、
「ポンデリングが無い、おまえ知らないか」と親父から。
「オールドファッションは食べたけど、見たときもう4つだったよ」
「そうか、朝から自分で食べたのか、まったく覚えていない」
言いながら台所に立って親父は泣いていました。
婆さんがボケたとき親父は良く
「俺がボケたら早く殺せ、あんな風にするな」などと言っていました。
とうとうその日が来たのかと不安がよぎりましたが、
ドーナツひとつくらい忘れる事もあるよねーと楽観視するしかないです。
さいきん凝り出したタロット占いで、最高の幸福を示すのは小アルカナ金貨の10。
金貨のカードは富を表し、その最高の10枚の金貨は領主と家族の幸せを描きます。
ひろいブドウ畑に大きな家と子供の夫婦に2人の孫に囲まれる金貨のカード。
僕は残念ながら親にまだ孫の顔を見せられないでいますが、姉は子供が2人で、
ショッピングモールで孫のオモチャと服を買ってバイキングレストランで食事する、
その食事に1杯のビールを付ける、そういう何気ない幸せが最高ではないかと。
兄さん(義兄ですが、そう書くのもよそよそしいので)にもなじんできました。
かつて親父はタロットで言うなら金貨のキングのような人物だったと思います。
お金持ちの究極みたいなもので、余りある富を狙って証券マンや不動産屋が来て、
ワインのプレゼントと引き換えに騙されてお金を失う事もありました。
どこまで玉座の周りを財宝で埋めても物質的な豊かさからの幸福は限度があります。
いつも土産にドーナツを買うなんて場面があると食べきれないほど、どっさり買う、
そう言う親父が僕の分と合わせて5個入りの小さな紙袋を持っているのを見て、
ああ、丁度いい幸福って今ぐらいなんじゃないかと思ったんですよね。
金貨のキングより金貨の10のほうが幸せというのは僕の持論みたいなもんです。
いつまで続くかは分からない平凡かもしれない幸福を今は喜びたいと思います。
親父もいつかは僕より先に死ぬのだろうけど、今はそれを心配する時ではないでしょう。