数学を解くということ


ストリートファイターの話を長々と書いたついで、高校数学の話。
小学校のとき算数は得意科目で学校では勿論、塾でも好成績だった。
その反面社会科の暗記問題は苦手で、国語の文章題や算数が「解く」
そして社会科は覚えて「思い出す」という2種類に問題を分類して、
解くのは得意だけど思い出すのは苦手だなと言う自己分析をした。
中学校の生物なんかは理科でも暗記問題が主になるので嫌いだったが、
担任の先生の科目が理科だった時は仕方なく植物や昆虫の分類を覚えた。
ひとばん仕込みで95点くらいで褒められて、暗記もやればできるなと。
それでも本に書いてあることをいちいち覚えるのは無意味だと思った。
その本に書いてあると分かれば、その本をめくれば良いことだし、
本を見ずに試験をさせるようなのは学校だけで、本はいつでも読める、
というふうな考え方をしていた。


そんなだが、そんなまま高校で大学受験にぶち当たり、言い訳も出来ない。
センター試験と言う暗記科目の壁をなんとかせねばということになった。
高校数学は算数の文章題などと違い、到底解けない問題に行き当たる。
代数や幾何は分かっても基礎解析や行列が苦手だったと覚えている。
ある日、高校の数学の先生が勉強しない僕を見るに見かねて、こうなった。
「うちで数学を教えてやるから先生の家まで通いなさい。
 ゲームセンターばかり行ってるんじゃないぞ、見込みがあるのに」
高校の授業は難関国立大を目指す優等生のレベルで進むので、
小学生の頃の自信はへし折られて自分に見込みがあるとも思えなかった。
しかし騙されたと思って先生のお宅に邪魔をして数学を教えてもらう。


「ホラ、こうやって解くんだ。問題集を開いてどんどんやりなさい」
「ちょっと待って下さい、ここの式は何でこうなるんですか」
「ん、二項定理を知らんのか、それはだな、こういうことだ」
「これって解くっていうんですか、覚えたのを書いてるだけのような」
「うーん、困ったヤツだな。数学ってそういうもんだよ」
「僕はこういうのは興味ないです。来週から辞めると親に言って下さい」
家で親に行かないと言っても聞いてもらえないので先生に電話してもらう。
その老先生は教育を押し付けるわけでなく、僕の意見を理解してくれた。
「アイツはな、東大くらい行ってくれると思ったんだが
 まあお前らも、そう勉強を押し付けずに、やさしい参考書でも買って
 関関同立くらいに入れてやればどうなんだ」
そのとき買ったのが微分積分の参考書で3000円くらいした。
お小遣いで買ったので値段が高かったのも覚えているし、今も置いている。
参考書の表紙裏にはその学年で必要な定理と公理がビッシリ書かれている。


ちょっと前に大阪大学の入試問題が新聞に解答付きで載っていた。
5分ほど考えてみて、解けずに解答を見た。昔よりはだいぶ分かる。
プログラマとして働くと仕事を達成するのに数学を使う時がある。
最近は数学AとかBとか分類されているが僕の年代は幾何と習った。
幾何のほかには行列もよく使う。微分積分をするジャンルもあるらしい。
就職してからの数学は計算結果が画面に出るので割と楽しく勉強出来た。
もっと早くプログラムを覚えていれば高校の数学も楽しかったかもな。


高校の時に買った微分積分の問題集には今も解けない問題がたくさんある。
どれも難関国立大の入試を目指した問題作りだから、まあそんなもんだ。
大学入試でそうだから、大学の数学もまたそういうもんだろうと思う。
深く狭くでいけば大学レベルを追い越している分野もあるかもしれない。
しかしまあ、試験には本やノートは持ち込めないし、計算機も使えない。
そういう限定的な環境で記憶力を頼りに進める仕事ってなんだろう。
あとになって、あのときもっと勉強しておけばと思うことは滅多に無い。
覚えて思い出すだけの勉強でも、思い出すたびに考えて、やがて分かる、
そういうことはある。だから勉強自体が無駄になることも無いとは思う。