マクド店員のルール

関西だと吉野家のお会計で「ごちそうさま」言う人いるけど、俺が初めて東京に行った時高架の下の深夜の吉野家で「ごちそうさま」は静まり返った店に響き渡って、うつむいていた店員さんは生気を取り戻したかのように笑顔になって「ありがとうございます」と返してくれたのを覚えている。その「ごちそうさま」から「ありがとう」までの数秒を映画にして見せたいくらいだ。ドアを開けて出た外はやはり寒くて静かな東京であった。


この対偶のような事例として、俺の家の近所のスーパーの食品売り場のマクドナルドがある。スーパーだからオバチャンが多く、フードコートは少しガヤガヤしていてうどん屋などは賑やかで、マクドの客席も100円マックで話している婆さんや女子高生。その空気感の中でマクドの店員さんはマニュアル対応をしている。俺はここのマクドを良く使う。


マクドが65円バーガーをやっていたときから昼飯に悩んだらマクドに行くクセがついて、今はランチでそこまで安いわけでもないけど(スーパー弁当と比べて)コーラが飲みたいのでマクドにする事は多い。毎日のように行くので、よくある案件として、新人の女子バイトが入って2週間目くらいの「あの人毎日来る。きっと私に気がある。恥ずかしい(あるいは気持ち悪い)」そしてベテランアルバイト「あの人、私が入ったときから毎日のように来てるわよ」とまあ、そんな話はどうでもいいが、本当にレジ打ちのマクドクルーに話しかけて絡もうと与太話を始めるオッサンもいて、たいていうどん屋のおばさんが「やめたげなさいよ」と止めておさまる。


うどん屋のおばさんがいなかったら、マクドナルドのマニュアルに酔っぱらいの対応はどう書いてあるのか。それとも書かれていないから困るのか。毎日顔を見る事になる常連客がマクドナルドに居るということはマニュアル化されていないだろう。俺はいっつもダブルチーズバーガーにポテトのMにコーラーのMで持ち帰りだから、古い店員さんが居たときは「店内でお召し上がりですか」ではなく「いつものお持ち帰りでよろしいでしょうか」と尋ねて「いいよん」言うとすぐキッチンも動いて準備してくれた。だがいつからか、マニュアルが徹底されて毎日「店内でお召し上がりですか」「いいえ、持って帰ります。ダブルチーズバーガーのセットを下さい」「サラダのセットもございますが」「ポテトで良いです」「ドリンクは何になさいますか」「コカコーラ」とやっている。またスーパーの中でも奥の方なので「今日は寒いね」くらいのヒトコトも言う気もしない。毎日全く同じ景色だ。


ランチで1000円くらいする喫茶店でメシをするよりは独りなのでマクドが多い。半額でボリュームもある。しかし壮年に向けての人間関係の形成を考えると問題があるんじゃないかなとも思い始めている。顔なじみになっても多くの人は辞めて行くだろうからな。何も会話がなくともいつもの店で見慣れた顔がなくなって新しい人になると、またそれに慣れるまでなんとなく気持ち悪い。都会の吉野家か田舎のマクドナルドか、どっちにしても場所に馴染むって大変な事だ。