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シューティング考

enchant.jsのファンタジーゾーンを作っていた時、ショップでのパワーアップについて先輩である古〓さんから「プログラムを組む手だてとしてパワーアップは最後です」と教わって、ずっとパワーアップを作らないでゲーム制作を進めていた。そうすると、どんどん上手になって結局パワーアップをしないでクリア出来るようになって、結果パワーアップを作らなかった。


シューティングの元祖であるインベーダーにもゼビウスにもパワーアップは無い。腕が試されて奥深いゲームだ。しかし俺がゲーマーであった頃にはPCエンジンメガドライブの選り取り見取りのパワーアップに心をときめかせたものだ。(ときめきメモリアルにときめかないでシューティングにときめく変なヤツなのだ)なかでもホーミングミサイルとバルカン砲の連射パワーアップの組み合わせが大好きでノートに戦闘機の絵を描いていた。


しかしゲームを作っていると敵をどれだけ色々作ってみても、パワーアップの前にザコ敵は無力で、何をするとプレイヤーが負けるのか考えなくてはならない。パワーアップして敵を強くしなかったらパワーアップしたほうが簡単になるので、大抵のゲームはパワーアップに応じて敵の弾が速くなったりしてバランスが取られている。そのためわざとパワーアップしないで進むほうが簡単なゲームと言うのも世の中にはある。


近ごろはシューティングというゲームジャンル自体無くなりつつあるが、生き残っているケイブ社のゲームは派手なパワーアップでザコ敵は実質的に飾りで地上砲台から大量の見せ弾幕が射出され、そのゆっくり動く弾の逃げ道を探す迷路ゲームのような性質にゲームが変わっている。


問題は俺が作りたいのが近ごろのシューティングではなくPCエンジンメガドライブのシューティングだというところで、ゲームプログラマーになってゲーマーとして遠て来た道を山から降りるように帰って行く感覚がある。どうやって死んだか考えると、夢中で遊んだシューティングには暗黙のルールがたくさんある。


そのひとつに、敵の飛行機は体当たりに近いような距離では弾を撃って来ない。これは、敵が近い時に速い弾を撃たれると、弾の絵が画面に見えてからそれが弾だと見て分かる前に自分の戦闘機に当たって死んでしまい「今何に当たったのかわからなかった」という不満を抱かせるからだ。ゲームで敵を強くしてプレイヤーを殺すのはプログラマーとしては簡単だけど、納得できるように殺さないとなかなかもう一度遊んでもらえない。


このように売り物のゲームが売れるにはお客さんが納得いく範囲の攻撃で殺すと言う一見すると相反するせめぎ合いの狭間から出来た黄金比のようなゲームバランスがある。そして絵も格好良くないといけない。自分で作ってみるほどに、遊び手というのはゲームプログラマーの手のひらで踊らされているとも言えるし、お客さんのワガママにプログラマーが付き合わされているとも言える。数百と存在するシューティングゲームの中で売れていて面白いゲームと同じクオリティを自分で紡ぎ出すというのは難しいです。