大阪日本橋に立ち寄った時もうゲーセンにストリートファイターの台は置かれていないので、ウメハラ氏はこれから何で喰うのかなとか、俺の戦いも自然に相手が居なくなって終わるのだなと考えつつも、新しいゲームが流行っているのは遊び慣れたゲームで勝つよりずっと魅力的に映った。
ストIIについてはもう書くことが無いが、グランツーリスモで簡単なレースをしたほうが上手に見えるという話をしていると「ストリートファイターも結局弱いヤツを大量に捕まえたヤツの勝ちだよね」という意見が出た。俺の最高連勝記録は75勝で今でも最後に負けた試合は覚えているが、ウメハラ氏のデビューは秋葉原で283連勝という売り文句だった。実地検分してみると現場のアキバセガは電気街の買い物帰りの一般客中心でゲーマーは少ない。仲間のゲーマーと東京遠征をして捕まえたウメハラ氏は10連勝も苦しいと言う実情。
しかしまあ、彼はメディアに押されてスターになった。ウチの母親などはテレビでウメハラ氏の活躍を見て「ウチの息子もアレやってたのに。あの子にでも勝つって言うのに。ワタシ怒ってん。そんなんせんと勉強しいってゲーセンまで行ってやめさせて塾に行かせてん。あの子は何億ももらってるって。ウチの息子なんてネクタイ締めてサラリーマンで月給30万ほどしかもろてへん」と言って泣くのです。
「本音で言うとウメハラみたいになりたいんじゃないの？」言われると「以前にそう思ったことはあるけど、今はもうちょっと違うことがやりたいと思ってるよ」具体的にどうってのはないけど、今の暮らしに不満は無い。
不満があるとすると俺がゲーセンで働いてた19の頃に大学に進んだ同級生達が俺がストリートファイターを夢中でやっていることを馬鹿にしたわりに今さらウメハラの映像を夢中で見ているとか、進学や就職を半ば強制した母親が賞金の額を聞くとゲームをやっていいとか、メディアに煽られ過ぎてる周囲の人間をどうにかしたい。自分がウメハラの立場になりたいというよりは、そういう番組を見て鵜呑みにしているお前らは何なのと言いたい。
そして俺がもしウメハラと戦って勝ったら賞金もらえると言われても、その勝負に乗りたいとは思わないけれど、秋葉原の買い物客相手に300連勝したら賞金もらえると言うなら勝負に乗っても良いかなと思う。プロお断りだ。
