エンジニアからレーサーに

Googleがただのハッカー集団から収益性を打ち出して企業になったとき、会社の中に食堂が出来て社員達は「こんな生活をしているとスポイルされてしまう」と皆言い出した(スポイルとはぬるま湯に漬けられてダメになるという意味)


俺はメーカーでの職歴を買われて周辺分野の会社で働いているが、仕事はラクで給料は以前よりは安いがその労働量と対価を比べると儲かり過ぎているように思う。メーカーはそれだけ人を食わせているとも言える。今の仕事をしていると機械の内部仕様に付いては掘り下げられない部分がありキャリアに不安はある。技術者のキャリアと言っても日本企業にはそういう椅子は無く技師は一生技師で事務員には役職があるのが普通なので、技師でキャリアを心配しても仕方ない事では有るけれど、新しい機械の内部に対する知識が不足になるのはまだ心配だ。


しかしまあ、ケータイひとつ取ってみてCPUやら通信やらに強くても、そればっかりに忙しいとテレビや新聞を読む時間が無い時期があり、俺は酷い時など新札が野口英雄になったことすら知らなかった。ケータイの内部など知らなくてもタッチすればニュースは読めるし、ニュースを知っているほうが話に華が有るだろう。


そのへんはメカニックとレーサーの関係にも同じことが言える。エンジンに強くてもクルマの運転と言うのは道に長けていたほうが良い。レーサーまで言わなくともドライバーと言うのはクルマの立ち振る舞いさえ理解していれば、あとは景色を楽しみながら走れるもので、荷物を積んで遠くまで行き世界を広く知る事が出来る。エンジニアが深く狭くならドライバーのほうが浅く広いだろう。


ただし、事を地図にしぼるならカーナビのメーカーで地図を読んでいるほうが詳しいかもしれない。情報とはそういう意味だ。体感的には実際に路面を走ったほうが分かる事は多いが、クルマの内部も地図も体感もとなってゆくと人生の限りある時間でどれだけのことを知れるだろう。


そう考えて行くと今のラクな仕事というのはコンピュータのユーザーとしての充分な時間があるわけで決してスポイルとも言えない。現代というのはそれぞれの人が生活必需以外の時間を持てる時代のはずで、それすらない労働環境で悪戦苦闘しているほうがキャリアとしては見込みが無い。そういう社会だということは非常に残念だ。残念だが、こちらが社会に合わせて行かないとせっかく社会のほうから歩み寄ってもらった事に対して申し訳が立たない。

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