ロジカル待ちガイルの攻略

なんつうか格闘ゲームは結局ジャンケン的な要素を避けれないというのを最近の持論にしているけれど、以前は駆け引きを生む要素をなるべく排除して論理的に答えを導き出せると考えていた。それ自体は間違っているのだけれど、不利なバクチを打って出も無理矢理勝つということをしない人には定性的に勝てる。


そして、俺はゲーセンで何十連勝としながらも最後はそのロジックを全て逆読みされて負けるのだけれど、自分から投げハメには行かないからリバーサル昇竜を喰らわない、バクチサマーは打たないと言う徹底したスタイルに感服してくれる人も多かった。最後には負かされると言ってもその勝率は自信があった。


相手は対戦の駆け引きを楽しむというより難しい横スクロールシューティングをコンティニューしてクリアするように俺のガイルを攻略するということを楽しんでくれていたんじゃないかと思ってる。


ゲーセンに脱衣麻雀が置かれていた昔の話、脱衣麻雀というのはアニメの女の子のキャラと麻雀をして勝つと服を脱いで行って最後には水着や裸になるというものだが、大抵はその甘い誘惑の裏でインチキに役満を喰らって100円玉をもぎとられるものも多かった。その類でグーチョキパーのジャンケンでアニメではなくビデオ映像で野球拳をするゲームがあって、それを全部脱がすのに100円玉を注ぎ込んで相手の手は一定でパーグーチョキパーグーチョキパーグーチョキチョキパーと出すゲーム台があったのだけれど、11回ジャンケンに勝つ必要があるので確率的を概算すると3分の1で100円失うので400円から500円くらいで全部脱がすことができる。麻雀のルールを知らない人でも遊べる。


俺のガイルもお客さんに取ってそういうゲームだったんじゃなかろうかと思うのね。お客さんが3人かわりばんこに乱入してそれぞれ5勝すると15連勝で、だいたいいつもそんなもんだったと記憶してる。ゲームが出たスグは40連勝とか出来たけど、段々パターンが分って勝率は五分に近づいて行く。俺は連勝の傍らで自分では勝てない相手にコンティニューして挑むのが好きで、ウメハラには15連敗したことがあるし名古屋の平井君というのにも20連敗したことがあるし、東京で修行した井上氏がストIII3rdを久々遊びたいと言ったとき丁度奈良のセガが閉店で最終日フリープレイで34連敗したことがある。酒に酔ってゲーセンに行って10連敗するのも良くあった。飲みで万札を使ってお釣りの千円でストリートファイターを時々やったものだ。恥ずかしい話ではあるけど。そういうのは酔ったり怒ったりでワンパターンになって裏を取られ続けるとか、他にはコンボのダメージに相当な差があってラウンドを取るまでのジャンケンに勝つ回数が違い過ぎるとか、様々の原因がある。あと俺はハメなくても井上氏はハメてくるみたいのもある。平井君もかつては投げハメ否定派だったがウメハラにこっぴどくやられてからハメるようになり、そのぶん投げ返しやリバーサル鬼炎斬とかで負けるようになったと思う。


やっぱゲーセンで100円賭けていると誰でも負けないように守ろうとするので、最初にリードすると待ち気味になり、堅くなって返し技を逆手に取られて負ける人が多い。ジャンケンだとリキんでグーと言う感じだろうか。とりあえずガードしとけば安全だろうと思っていると投げでアッと言う間に減らされて、そろそろ何かしないとマズいなと思ってしまうと崩れる。ストリートファイターはそもそもが100円玉をスグに取られるゲームセンターで、ガードを付けてじっくり戦えるゲームをという主旨で開発されたらしい。イーアルカンフーにはガードが無い。とりあえずレバーを後ろに倒しておけば安全に遊べる。だから投げハメは禁止だし、バーチャファイターでもローキック禁止のコミュもある。


そこで空気を読まずにハメて勝つと相手にそっぽを向かれるので、俺の連勝記録というのはやはりハメ無しで勝っていたからだと思っている。連敗記録もロジカルだから逆読みを喰らい続けるからだろう。そのへんロジックを捨てて投げハメバクチ昇竜ありに開眼した時に対戦をつまらなく思うようになった。結局は相手にバクチを打たれたらバクチなのだから自分からバクチを打った方が有利ならバクチを避けるわけにはいかないが、そうするとロジカルには勝てないからつまらないわけだ。そうこうしている間に俺も相手してつまらないヤツになったのだろう、乱入者も減った。その代わり負けが込むことも無くなった。そしてそもそもそんなにやらなくなった。


何故ガイルかというのも、そのへんにあった。ソニックブームを打ってから飛び込んでジャブソニックとケズリでどんどんリードを奪えるので、ハメ無しルールに合っている。ダルシムなんかもリーチが長くそもそもが逃げ馬だから。ハメ無しの人でもザンギエフだけはハメアリという風潮もあって、ザンギエフも結構使っていた。あとはダブルニープレスで削れるベガも。その辺のキャラはダメージを取れる。でも、カプエス2はフルコンタクトなのでキャミィをだいぶ研究した。バクチ昇竜よりもローリスクなキャノンスパイクに安定削りのスパイラルアローにハメアリだとかなり強いキャラだと考えてたんだよな。


カプエス2は井上氏が俺のキャラをどんどん取るので同キャラをする機会が増えて、俺のしたことをされる、それが嫌でキャラを変えるの繰り返しになり、井上氏がブランカサガットに落ち着いたのも俺がガイル固定でガイルに勝ちやすかったからだろうな。全く触ってなくて、久しぶりにやるとまた全然違うゲームが見えてくる。


カプエス2の京はジャンプがふわっと高くてステップが遅い前転も遅いので、かなり待ちを崩せない。Pグルだと飛び込めるけど、それ以外はリーチが長いのでリードで始まると待ちが強いけどまくる要素が無いように思える。強いて言えばソバットと八拾八式でガードクラッシュを狙うくらいか。ハメても良いとしても近寄れないキャラじゃないかなと。


そのへん、待ち過ぎもそんなに待つ人って居なくて、なんとなく飛び込んでみるというのが普通だから対空昇竜を起点に勝てるんだよな。普通は。やっぱカプエス2がどうというより井上氏とモンテカルロでやってたってのがつまらないと感じた原因かなと。井上氏にはストIIで負けたことは無いけど、KOFでは滅多に勝てなかった。やっぱやってるゲームが違うしルール感も違う。KOF98から組んでストIII3rdでは最初はだいぶ勝てたけど、俺はストII時代からの暗黙の縛りを解けない人だったので新しいゲームのルールに馴染んだ井上氏にジワジワ追い上げられて最後は井上氏の方がずっと勝つようになった。追い上げられて抜かれると引退のサインかなと思ったこともある。


んでも、地元の連れのヨシイ氏には今の腕でも絶対負けないと思う。それだけ井上氏との対戦は何となくではなく日々実りあるものだったとも言える。安易な縛りなしにゲームの本質が良く見えた感じがする。


そこまでやったカプエス2だけどブランカサガット以外はまだ全然煮詰まっていないと感じて、コンピュータ戦でやりこみはじめると、またコンピュータ相手のロジカルな部分が自分の中に出来てくる。俺がロジカルなのも東京で対戦の中で育ったウメハラ氏や平井君と違って俺は田舎でコンピュータ相手に格闘ゲームを煮詰めたからだと考えている。


思考というものは論理性を伴わないと発展性が無い。だからまた俺はジャンケン要素のある格闘ゲームを再開することで何らかのロジックをこれから組んで行くだろう。人為に確率は答えとはならない。簡単には負けないロジックを組んで、それを相手に誰かが自分を打ち負かしてくれるのもまた楽しいのではないかと考えている。ゲームの大会で勝って得たものなど大したものではないのだ。自撮り写メ程度の雑誌写真を自慢するために何もかもをするというのは間違っている。


まあ、雑誌に載ったのはそれはそれで狂喜乱舞するほど嬉しかったけど。


追記:分ったことがある


まずジャンケンの勝率を3分の1で概算したけど相子の3分の1は次の3分の1を加算して考えるので漸近的に2分の1になっていく。当たり前だけど2人でジャンケンした時の勝率は2分の1。脱衣ジャンケンは600円儲かる。これがひとつ。


次に井上氏に34連敗したのはこちらがケンで相手がユリアンだが、仮に疾風迅雷3回で勝てるケンとエイジスコンボ1回で勝てるユリアンの1ラウンド勝率を1:3とすると3本先取での勝率は1:27まで広がる。キャラ差にして3:7というのはラウンド勝率と仮定すると実に6:94くらいまで広がる。2:8なら1:99になる。反対に勝率自体が3:7で3本先取だったら1ラウンドの勝率は3/7の三乗根。三乗根ってどうやって求めるんだっけ・・・。平方根なら65%なんだけど。ウメハラ語録に「みんな6:4とか言うけど6と4って1.5倍の差があるわけでキャラ差って5.5:4.5くらいのものだと思うんだー」というのは今から考えてもなかなか言い得ている。ゲーメストのキャラ差ダイアグラムって何だったんでしょうね。ところで俺はエイジスユリアンには負けても基本的に乱入しません。件の34連敗はフリープレイイベントだったから。井上氏のケンとは五分くらいでした。


俺の数学は高卒以降独学だけどインターネットで怖がらずに持論を展開すると読んでくれた人が突っ込んでくれて勉強になることが多い。


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