スタイリストさんとか美容師さんには気をつけなきゃだよ

テレビドラマ「下町ロケット」の再放送を見ていました。
それはもう、誰しもがそうであるように阿部寛の演じる佃工業ガンバレとなりきって見ているわけですが、ふと悪役のピーターさんの着ているスーツと同じようなスーツを自分も持っているなと気づきました。ドラマでは帝国工業に足元を見られて特許を安く買い叩かれそうになっているところを、その値段でも盗み聞きした従業員の舞い上がるシーンや、もっとネタバレると特許を巡る裁判に勝ってその後の展開に続いてゆくわけですが、俺自身は佃工業のような下積みの時期もあれば帝国工業のような仕事に抜擢されて、ダサい服では浮いてしまうと思って上等のスーツを新調したことがあるんですけど、そういう時にブティックの人の言いなりに「これがお似合いですよ」と着せられた服、美容室に行ってチョキチョキ切ってもらった髪がそのままカッコいいと思っても時事的にテレビの悪役とかぶってイメージダウンになるケースがあるんだなと思ったわけです。
「そんなん着てたらアカン!アカンよ!もう脱いで捨てろ!」と言われて服をビニール袋に詰めて捨てた記憶があるんですよね。仕事が忙しかった時はテレビを見ていなくて、何か突然に街を歩いても電車に乗っても人垣に取り囲まれてパニックになって俺は自殺未遂をしてから精神疾患の診断を受けて実家に帰って10年くらい経つわけですが、大阪に出ていた数年の間に近所の評判がとても悪くなっていて、確かに素行が悪かった部分も認めるんですが、何かもっと大きなイメージ戦略みたいのに巻き込まれていたんだろうなと思います。
近所に散髪屋と美容室が開業していて、近いからと行って切ってもらうと突然自分が頼んだのと違う髪型にされて「こんなの頼んでない」「あら?コレとちがうの?」とか言われて髪型が変わったり、洋服の青山に服を買いに行くとどんどん高いものをすすめられて悪趣味に見えたり、オシャレを簡単にお金で買えると思ったら変な目に合うと言うか。
それで近頃は服はスーパーかユニクロか通販で、髪の毛は自宅で自分でハサミで鏡を見ながら切って自分の見た目がなるべく変わらないように保っているわけです。
ただ、人の好みが吉川晃司か阿部寛かってのは人によると思うんですけど、結構真面目に開発に打ち込んできたものがある日突然スーツを着せられてテレビに撮られて「そういう人」と報道されれば「もうそういう人」というのは人の噂も75日というけど俺の場合は10年くらいそういう状態が続いたんですよね。これのどこに意図や悪意があるかは分からないところで、テレビを見てスタイリストや美容師さんが罠にはめたと考えるか、スタイリストさんとか美容師さんが良かれと思っていたけど時代を分かってなくてテレビ局が罠にはめたか、そんなの全部偶然と捉えてしまうか、美容師さんもテレビ局も髪を切っただけ、番組を作っただけで、似ている人をそう思い込む視聴者の責任であると考えるか、どう思われているかを気にしてしまう俺の自意識過剰とか自己責任であると考えるか、様々だと思います。
それで、近所の散髪屋はゆるいリーゼントに仕上げるのがもう手についた仕事として「俺らこれしかでけへんねん」と言うけど俺が子供の頃に近所に居た散髪屋さんといえばキノコボンにされた記憶があって「お前ら絶対からかってるだろ」と思ったし、美容師さんのほうは写真を先に見せて頼めばひとまずそういう風には切ってくれるようになったけど、繰り返すけど最近は自分で髪を切ってます。
それでまあ、近頃は部屋にこもっていることが多いのですが、今のテレビで下町ロケットを再放送でしっかり見直すと、テレビが大きいので細かい描写にも注意深く気づくことが出来て、俺はいったい今どういう状況に置かれているか考え直すべきだし、そのために何か大きなことが動いているサインとしてテレビで身近なテーマにやっているんだろうなと思いをあらためています。
下町ロケットは宇宙ロケットの小さな部品が帝国工業の内製でなく小さな工場で作られていたことが発覚することから話が転がるように進んでいきますが、俺がハロワで「家から近いから」という理由で選んだ小さな会社から何がどう転んで今の状況になったのかは主観からは言われたとおりに転勤して先々でパソコンの中身というか中か外かも怪しい概念であるソフトウェアに夢中だった間に貧乏くさい会社の社長が毎日キャバクラで豪遊するようになったり、マンションから町工場に自転車で10分位の距離をタクシーで往復するようになったり、小説より奇なりの様々のエピソードがあるわけですが、ほとんど想像の世界で出来ていた工場の外で起こっている話の脈絡が整理されるのに現地調査でなくテレビドラマで良いのかと、そこもうちょっと冷静に考えるべきですよね。
多くの人がテレビを見てそれと混同して思い込んでいるだけの世界と現実世界での奇妙な体験との接点がスタイリストさんとか美容師さんとの関係性の中にあるような気がする。その程度しか今は言い切れないのですが、下町ロケットという大人向け番組のほうが仮面ライダーより展開がゆっくりで分かりやすいから、大人はやっぱ子供に比べて退屈で緩慢な時間の中を生きているのかもなと思いました。
まあ、下町の工場でロケットの部品を作っていたという比喩は何かを言い得ているけど、それで特許で何億儲かったとか仮面ライダーに変身したとかいう話にはなっていないので、やっぱりテレビはテレビで服装も髪型も第一印象程度の意味しか無いのですが、世の中の99%の人間は自分とは直接のやり取りはなく、印象がその人を司っているような感覚にハマっているんですよね。