自分の職歴を整理してみたい

俺は有限会社フリーライフの正社員でありながら、シャープ株式会社の派遣社員でる、という風に組織によって所属が変わる。
勤め始めた頃は年金の付かないアルバイトで、勤務先は谷六のユニオンシステムに株式会社パートナーの正社員であると偽装して入館していた。コレには色々の人の利害が絡んでいる。ユニオンシステムはプログラマーが欲しい。パートナーは仲介手数料が欲しい、フリーライフは従業員に仕事を与えたい。そして通例としては派遣社員を3年以上使う場合は企業が正社員として登用しないとダメという規則があるのだが、ヤクザの会社なので3年使ってクビにしてまた新しい人を3年使って人件費を浮かす。若い時は何も知らなかった。
大阪にマンションを買った後だったので、ユニオンシステムに解雇されてもフリーライフに頼めば次の仕事は斡旋してもらえる。年金も付けてもらい正社員になったのだけど、フリーライフの本社は社長の自宅でそこに行ってもおばあちゃんつまり社長のお母さんがお茶や羊羹を出してくれるだけで畳の間にノートパソコンが2,3台置いてあるだけで仕事はなく、もちろん正社員なら本社勤務で給料を保証すべきみたいな社会の建前を一度は並べたが、どっかに出向しないとお給料はもらえない。
そんないい加減な会社だけど、役所に書類は出しているし納税もしているし職安からの紹介もある。そのままの状態で富士通ヒューレット・パッカードにキャノンにNECなどコンピュータにまつわる大企業のオフィスに通してもらって、憧れの大企業というのは幽霊のような存在で実際に仕事をしているのは田舎の工場とかで、沖電気とか新大阪のビルの中に工場施設を持っている会社もあるから大阪のマンションから通えそうなところをどんどん当たってもらって3ヶ月ずつの契約を転々としている内に日本の様々のシステム、例えば病院の電子カルテに鉄道の定期券と読み取り機に銀行のATMなどに関わらせてもらった。何で俺なんかが、という卑屈な感情で緊張感をもって臨んでいたが、いつしか任される仕事の影響範囲が大きいということは自分はすごいという誇大妄想に変わり、態度はユニオンシステムに居た時によくバカにしてきた偉そうな部長の態度そのものに変わっていた。
だが、コンピュータの性質上、完璧なシステムを組み上げるとそれ以上は機械任せで故障修理以外の仕事はなく、俺の仕事はなくなった。これも後から知ったことだが、普通はどこかおかしいところを残して改変手数料を取り続けるのが機械業界の習わしなのだ。俺はこれがおかしいと思った。病院だって歯医者さんが虫歯を薬で治すよりドリルで穴を開けたり親知らずを抜くほうが診療点数が大きいから用事もなく人の口から葉を抜いてお金をとっているように、内科だって風邪ひとつ治さない。健康にしてお金を貰える社会の仕組みづくりが必要だろうと政治的な思想を抱くようになった。
お金がないという理由で生活に困窮したのが自分の自殺未遂の原因のひとつというのは恥ずかしい話だが、包み隠さず記憶をたどるとそういうことらしい。さいわい、両親ともに生きていたので生活保護とかにはならず、別居の両親どちらかに付いて親のお金で暮らしましょうということになって経済力のある父方に付いた。それからフリーライフは退職して、製図機のムトーというメーカーで安定した勤務をしようと考えた。そこで面接していた人がムトーの社員ではなく関連会社の社長さんで「ウチに来い」と言われて郡山のシャープを斡旋される。それから10年くらい経つのだけど、ムトーの関連会社であったエルアンドエイチが大阪のビルにオフィスを構えるようになった時の増員で俺は追い出され、仕方がないからフリーライフに何か仕事はないかと尋ねると、また郡山のシャープで働くこととなった。所属は別の会社だが、部屋は同じだ。
会社によっては勤務が決まったら有限会社フリーライフの名刺の代わりに所属を示す身分証や新しい名刺が発行されるケースもあるが、短期の仕事だとそれもなく、また俺自身が火の車では無くなり親元なのでメシや住まいには困らないからお小遣いのために短期の仕事をときどき受けるだけなので昔なら飛びついたであろう「正社員にならないか?」(ただし月単価では値下げ)という案件には食いつかない。
だから仕事のない時に図書館に行く時に警察から職務質問を受けたりしたのを皮切りに街の人から「仕事もしないでフラフラしている怪しい人」というレッテルを貼られて、とても肩身の狭い暮らしを強いられている。思い返せば自分がバイトしていた頃にゲーム仲間で「あの人いい年なのに何してるんだろう?」と思った人を別の仲間にたずねてみると「プログラマーってみんなそうらしいで。お金いっぱいもらって遊べるって」と聞いてプログラマーに憧れたんだっけかな。だけど主婦と子供しかいないスーパーで男がひとり買い物をしていると怪しいから、ゲームセンターくらいしか居場所がないって、案外先輩たちも息苦しかったのかもしれないなと想像すんですよ。
近所の人どころか親戚とかからも怪しまれているプログラマーとしう職業。仕事にプライドを持っていた時期もあったけど(完璧なシステムを作ろうと自負していたときね)わざと壊して修理費取るなんてみっともない仕事になったら仕事に行くこと自体も肩身の狭い気持ちでやりがいとかは全く無いです。自分で面倒見るのは自分のパソコンとウェブサービスだけ、みたいな現状は儲からないけどある意味で理想。
シャープの総務の方も俺の個人的な事情を分かってくれて、仲介業者が何であれ入館証には「有限会社フリーライフ」と書かれているのがいちばんの出世のしるしなんだけど、そこ以上にはキャリアアップ出来る感じがしなくて、こころの病も完治はしなくて、東京さ出るってことに夢もないし、それよかお金があって暇な人ってゲーセンやパチンコ屋以外にどこで何をすれば同じように暇している人と会合できんのか悩んでます。家の近所は商店街で店で喋ったら何か買って欲しいってなるし、公園とか図書館は怪しまれるし、自宅にいても近所の駐車場とかかき氷屋でゆるやかに知らない人に見張られている感覚が付きまとって完全には落ち着けない。苦しいです。