少年はポケットにナイフ忍ばせて

俺は小学校の頃から近所のオモチャ屋で爆竹を買ってオヤジのタバコを吸う用のライターをひとつ盗んで十徳ナイフとそれらを一緒にポーチに入れて持ち歩くあぶない少年だった。いや危なくないでしょ男の子として普通でしょと思う人もいるだろうし、イヤだわイヤだわ怖いわ怖いわ物騒だわと思う親御さんもいるかもしれない。

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幼稚園の時に地域のふれあい会みたいのに親に連れて行かれて、体育館で集まったところに「ほら、行っておいで。頑張りや!」と親がそっと背中を押して「床にテープはってあるやろ。そん中やで!」と言われるままにペタペタと歩いていったら、いきなり周りの子供達がサササッとテープの貼ってある端っこの方に集まって、体格のいいゴツ目のジャイアンみたいのにボールを思いっきり顔にぶつけられて、なんか理不尽で痛くてわけわからなくてその場でしゃがんで泣き出したら「ちょっと、アンタあの子なんねんせい?」「えっ?幼稚園よ?」「あんた幼稚園の子にドッジボールなんてルール分かるとおもてんの?」「もう、情けないわ泣いちゃって」「だからそうじゃなくて・・・」

そっと体育館の端っこに連れて行かれてその時はワケが分からなかったけど、鮮明に覚えていて、後から何が起こったのか分かった。

何が起こったか分かる前に俺はとにかく外出する時武装するようになっていた。

意味が分かるようになってから、それでもボールをぶつけた奴を何となくわざとだろうと憎んでいたこともあったが、何より許せないのは自分の非力さだった。小学校の低学年の頃は金持ちのボンとして美味しいものを食べて丸々と太っていたのだが、高学年から中学に上がる頃には運動は一切せずに塾通いでガリ勉でケンカはかなり弱い。

そして小学校低学年の時に七つ道具は友達のお母さんが危ないと言って取り上げられて、遊ぶと言うともっぱらひとりでファミコンになっていた。

ほとんど忘れていたが、近所にダイソーが出来た時におもちゃとしてBB弾の拳銃が売られていて、色々と芋づる式に記憶が戻ってきた。

もちろん、BB弾の拳銃には殺傷能力はなく完全におもちゃだし、十徳ナイフも怪我はするかもだけど刃渡りが短くもちろん殺傷能力はない。

その前にもっと改造ガンとか野球のバットとか本当に威力のあるものを集めていた時期もあった。この時は「やる気」だった。本気で昔いじめた奴らを殺したいくらいの気持ちだった。

今はそういう気持ちでなく、ロマンとして拳銃とナイフのおもちゃを持っている。

取り上げられたから、七つ道具に未練があったんだろうな。