ギター始めた頃はマイナーセブンスとかサスペンドフォーとかの難しいコードは死んだほうが良いと思っていた。なんでコードってこんないっぱいあんのギターの弦6本だし指5本しかないのに押さえ方の種類多すぎてわけわかんないとコードブックを読みながら投げそうになった。
だから俺はメジャーコード7種類だけを覚えてそれで弾ける曲ばっかり練習してみたら、それだけで結構行けるのでますますセブンスコードとか何のためにあるのか分からなくなっていった。
しかし、弾きたい曲に難しいコードがあるとあきらめるか、自分の知ってるコードに置き換えて無理やり弾くということをしている内に、いつまで経っても上達しない壁みたいなものも感じ始めていた。そりゃそうだ、新しいこと覚えたがらないんだから。
だけど、ふとヒステリックブルーの「なぜ・・・」を弾いてみたくなって、この曲はレコードで何度も聴いたのでオリジナルのようなカッコいいギターは俺には無理だとあきらめ半分だったがどうしてもこれを弾けないまま死ぬのは悔しいと思って楽譜を見たら、もうワケのわからないコードまみれである。
だからコードブックを別の出版社で読み比べて、一番簡単そうなやつを選んでみた。難しいやつはDm7から入っていて、簡単なやつはCから入っている。
それで自分で弾いて歌ってみるとDm7は「なぜ」という感じでイントロのイメージとバッチリ合うが、Cだと「はにゃ?」となる。楽譜には間違いなくCと書いてあるけど、なんか違う。
簡単なコードの楽譜でも「ふたりの恋」の「こーいー」にはEsus4が使われている。これはEsus4からEに弦を1本押さえて離すだけで、見事に「こーいー」になる。
それで弾き比べてみて、Dm7を頼りにDからCに下げて自分で探して押さえて見ると気持ちいい「なぜ」の響きになった。歌の音程とギターの音程の絡みでマイナーセブンスでないとレコードで聞き慣れた「なぜ」の「なーぜー」という感じにならないのだ。
覚えたての頃には「そんな細かいことどうでもいいやん」と思っていたことだけど、指使いなどの上達と違って、音楽理論の方もやっとちょっとだけわかった気がしたのだ。
四重奏のうちひとりが半音間違えるだけで音楽は全然別物になる。
死んだほうが良いとか言ってゴメンなマイナーセブンスとサスペンドフォー。お前らのおかげで俺の青春時代の音楽はメロディアスに彩られていたのだな。