パソコンでプログラムを組んでゲームバイナリが出来るまで

右も左も分からない18歳の頃と比べると41歳でまあまあゲームが分かるところに来た。

ゲーセンでバイトをして貯めた金を夢を売る専門学校に騙し取られ、学べることは全部学んでやると単位を全部取って、職員室の先生の本を読んでやろうと忍び込むと週刊アスキーしか机の上に置いていないという。図書館に置いていないような技術書を自費でいっぱい買って独学でゲームプログラムを身に着けた。独学と言うとひとりのようだが、人にものを教えるのに先生と生徒や職人と弟子の格好を取るのではなく、執筆者と読者の形で現役の生きているプログラマーがリアルタイムに本を執筆して発売日に書店でそれを買い学んだこともあったので、感覚としては独学よりマンツーマンに近い。

派遣社員として大小のソフトハウスや工場に忍び込んでゲームだけでなく電機全般に対して開発、設計、製造、評価のフェーズを技術者として体験した。ベテラン技術者からはお坊ちゃんの工場見学程度にみなされている部分があり、出来ることを見せると「どこでそこまで詳しくなったんだ?」と言われることがある。

勤めているうちに専門学校の先生が退職後勤めている会社がメーカーの評価部門でそこにもバイトしに行って本社の方にも別の部分の下請けで入ったりしたが、工場の中には多くの役職がありそれぞれが縦1列に並んでしまわないように次長部長課長と並ぶのでなく主任や参事といった横並びの役職がたくさんあることを知ったりもした。

大した意味はないが派遣元では開発部主任から支社長になって独立して個人事業主まで行ったが、工場での扱いは本社勤務の人から技師として他のものと並列に扱われ、勤続年数などでマウントしてくる人もいるし、反対に勤続年数ではなく年齢で持ち上げられることもあって難しい。

それでプログラムだけはどうにか白紙からゲームと呼べる形に組み上げてバイナリにしてダウンロードサービスで配布する所まで来たが、それで描いた億万長者の夢は現実とはならなかった。全然思っていたほど儲からなかった。

では何が違うのかソフトの品質ばかり考えていたが、会社というのは商品が青汁でもパッケージして単価を設定して販路に乗せて利益が上がれば億万長者になるものである。俺の場合技術者としてゲームソフトを製造してネットでダウンロード販売するというビジネスモデルで自分で作ったから製造原価が実質無料である。社長として自分に給料を出しながら作れば黒字でゲームを作れるが、個人事業主で製造原価が無料になっても生活費がかかるので赤字である。

まあ、そこから這い上がって最近はどうにかこうにかインスタント食品とコンビニ弁当を食いながら再放送のテレビドラマを見てモンハンなどで遊べる程度にはなったが、並のサラリーマンほどの収入もない暮らしである。

個人事業主を主婦や子供に分かりやすく説明すると社長なのであるが、従業員がいるわけでなし実家暮らしでニートのごとく家にいる。テレビドラマ「フリーター家を買う」の二宮くんを見るとそういう風にも見えるこの暮らしで知らない人に何をしているのかと問われると歴史を逐一説明する気にはならないし、なかなかやりづらい。

技術と商才を兼ね備えた働き者社長を将来像に据えているが、社長てのは従業員を使って頭でラクに儲けたい人が成功するのかも知れないなと考え始めた。

もっとこう、ババーンと打って出るマウント合戦不要の肩書が欲しいのだが。年功序列かつ少子高齢化社会において俺はまだ若い。

41歳なのである。俺の住む町には80代のダブルスコアがまだまだウヨウヨ生きている。


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