俺は「つたんまにっき」というボンクラサイトの管理者でした

高校くらいまで俺は人から「アホ」と言われても笑って返せる性格だった。

誰がどう言おうと成績の良い進学校に通っているし、自分は賢いと思っていたから。

高校卒業後に国公立に行けなかった俺はフリータになり将来は家業を継げるから学歴はいらないんじゃないかとも友人から思われていたが、趣味でコンピュータゲームが好きな割にマイコンを持っていたなかったので小さな東大阪のコンピュータ専門学校に成績優秀の特待生として授業料免除で入学した。タダなら良いと思ったからだ。

ところが、社会人になってから3年後に派遣社員として働いていた会社から正社員登用されずに別の会社へと出向を促されてから、法律的にはグレーな再面接を何度も受けた。パソナなどの大手派遣会社は軽作業などを人数で勘定して、何人いくらで会社が臨時増員できる人身売買制度だから面接などは無いのだが、自分の場合は中途採用と同じように面接を受けてから会社に派遣社員としてよそ者扱いで席をもらって働いた。

便利だったんだと思う。会社の固定化した人間関係に就職氷河期だった昭和53年組。ちょうど平社員が係長くらいになる年に平社員のなり手がおらず、そこへアルバイトや派遣社員を会社が使い始めて、いわば都合の良い負け役としての需要があったのだ。

そこへきて専門卒という学歴は格好の餌食となった。正社員が自尊心を満たすのに必要な期間だけお金で臨時で雇えて学歴は自分より低い。こんな都合の良い負け役がいるのか。とてもみじめになった俺はそれから誰かに「アホ」と言われると本当に心の奥から腹立たしく、学校の勉強はできても社会の仕組みを知らなかった本当のアホだという自覚が生まれ始めて、一番ひどい時には手を上げて警察沙汰になってしまった。留置場の弁当を1食だけ食べた。

それでアホとかボンクラという言葉に必要以上に過敏になった俺だが、最近では昔の自分を振り返ると本当にボンクラだと思い返すことがたくさんある。

ごくごく普通に嫁に入った女が姑に家の中でこき使われているのに外に出てみると姑のばらまいた噂話で出来ない嫁とされていて近所付き合いの輪の中にも入れてもらえない、みたいな基本的ないじめの構造の中に自分が巻き込まれていたのが分かったから。

派遣社員時代の唯一の趣味だったストリートファイターでも、地下の暗いゲーセンにゾロゾロと入っていってそこで人垣に囲まれてその中の試合で勝って、大会などの時にはトーナメントのくじ引きで不利キャラに潰されて、自分の使っていたキャラで自分と同じ動きの別の人間がスーパースターとして脚光を浴びる。何故その動きが同じなのかというと、当時は上手いやつの行き着く結論は誰しも同じになるものだと理解しようとしていたが、実は地下のゲーセンにゾロゾロ入っていく人垣はみな大会関係者で、その地下トーナメントで自分たちで囲った中で狙いの人物である俺がギャラリー受けの良いバグ技混じりの新しいプレイを見せてしまうという手筈だったのだ。

それがどういうコマンドでプレイできるかという事は翌日に俺がブログ「つたんまにっき」で「地下トーナメントでこんな技を決めた」という解説を書くものだから、読んでその通りにすれば良い。なんて都合の良いウェブサイトだったのだろう。地下ゲーマーはみんな知っていたからアクセス数が伸びて俺は有名ブロガーになったつもりだったが利用されていただけだったのだ。

まあ、過去の話はそれくらいにする。振り返って悔しがっても過去は変わらないし、今後のことを考えるとあんなにやったのにという後悔でズルズル格闘ゲームの世界に未練を持ってしても戦果を得ることは難しそうだからだ。

それよりは、専門学校なら特待生で授業料免除だったから、もういちど勉強して大学の授業料免除を社会人入試でも出来るところを探し始めた。だいたい私学になる。学科も限られる。新しい目標が出来ると人間前向きになれる。

それから、また「アホ」とか「ボンクラ」という言葉を耳にしても聞き流せるようになった。昔のように笑い飛ばせるようになるにはもうちょっと勉強が必要かな。