ゲームには勝った、そうすると場外論戦になった

まあね、俺はアメリカまでストリートファイターの遠征に行ってストIIX優勝、カプエス2で2位、ストIII3rdで7位という結果なんです。

正直言うと、カプエス2とストIII3rdでも1位取りたかったですよ。今でも取りたい。

だから、カラダに染み付いたストIIをどうやってストIII3rdやカプエス2に置き換えるかということでいつも苦戦してるんですよね。ストIIXはストIIを一番やりこんで、地元で最強、ダッシュではIIからの引き継ぎで勝てるけど四天王キャラ差有りすぎだろ、ターボでは国技館まで行って、その頃に既にゲーセンではスパIIXだからスーファミターボは余興のイメージで本戦では大画面に映されてスライディングからの折檻で大ブーイング、そのままブーイングを怖がって投げハメをやめて相手の投げハメで会場がシーンと静まり返ってお通夜みたいに負けたんです。

それからSNKのゲームやカプコンX-MENやヴァンパイアを日本全国津々浦々のゲーム好きとつながりながら遊んでたけど、もう地元じゃブームは過ぎて誰もいないゲーセンの片隅で「どうやったら興味を持ってもらえるか」と考えながら、勝つことよりもパフォーマンスを中心にやっていたんですよね。投げハメはしない、何故ならシラけたから。

自分は投げハメしないという縛りのまま、自分に興味を持って対戦してくれる人とはゲームで勝負した。そうすると投げハメされることもあった。投げハメで負けているけど、自分もやってしまうと全て水の泡だと思っていた。それでも、ストIIを知らない人からはそれが反則だと分からないし、ただ「弱い」と思われていたかもしれない。

投げハメするなと言うと「弱いくせに文句で勝とうとするな」という筋になる。

ゲームに熱くなる、シラケるの基準はアメリカ遠征で言葉や文化の違いがあっても、どこか通ずると思った。自分のプレイは大会での結果でなく、野試合での喝采によって評価された。大会は真剣勝負の場だから黙って見守るというのも分かるし、盛り上げるための暗黙のルールをどう説明するかも難しくて面倒だ。そこは我慢してきた。

日本勢の遠征組からは「カーメンさんサブキャラいっぱい使えて盛り上がってるな」と言われたけど、多分サブキャラだからという問題では無いと思う。向こうのリーダーが「ヤルナ!ミロ!」と俺を制して、現地人ふたりで対戦を始めた。その試合はいわゆるガチではなくて、相手の技をブロッキングしたら投げや速い打撃がカウンターになるのだが、敢えてカウンターを取らずに相手が返しのブロッキングを出来るように技を出す演舞のような試合だった。だが、そのふたりはトーナメント形式の大会では全く力を発揮できていなかった。残念だと思った。プログラムの仕組みやルールが分からないからだ。

また、近年では動画で見られるので文章での説明は不要に思われるかもだが、YouTubeブロードバンド以前のネットは活字での言論が中心だった。俺はゲームも細々とは続けていたが、書く側に回った。その中で言論のルールの厳しさといかに活字で伝わるように書くかということに悩んだ。

だがある日、かつて自分のいちばん活躍できるコミュだと思ったヴァンパイアの対戦会で投げハメを解禁してみた。もう白々しい馴れ合い対戦のルールで誰も見ていないのに踊り合うのは馬鹿らしいとどこかで投げ出したからだ。

すると以外にも、多くの人が「面白い」と言ってくれて、ビデオを見た他のゲームのファンもヴァンパイアをするようになった。ゲームのプログラム以外の言論のルールが読み込めない人でも、フルコンタクトだと分かるとルールが動画で分かったからだ。

近頃ではストリートファイターも細々とはやりながら、テレビで相撲やサッカーに野球や競馬など色々のスポーツを観戦している。自分でやったことがないものは勿論わからない。分からないけど、分かることもある。ストリートファイターのルールが分かってもらえないのも誰かの責任ではなく見世物にしようとしている以上は当たり前だと思うようになった。

子供の頃はテレビを見ていてもゲームの疑似体験ではなくアナウンサーの実況しか分からなかった。本を読んで勉強ばかりしていたからだ。

今はテレビを見ると、選手に乗り移ったらどんな景色になるだろうかと思って見る。

もちろん、ストリートファイターもそういう風に見て欲しい。論戦になるのは何か筋が違うんじゃないかとも思う。言葉にしないと分からない人もいるんだけどね。