初代ストIIのガイルとストIIダッシュのガイルの性能差

ストリートファイターIIストリートファイターIIダッシュって何が違うのか。

大まかに言うと同キャラ対戦が出来てキャラの色違いが選べること、それと四天王が使えてプレイヤーキャラが12キャラになったこと。

それ以外には、例えば当たり判定や技のダウン判定などが微妙に調整されている。

ガイルの変化といえばニーバズーカーが付いたということが見た目と操作で分かること。立ち小パンチのジャブも近距離のものに統一された。

しかし、しゃがみ中キックを立っているリュウ相手にどのくらいの距離でヒット判定になるかというようなことも微妙に変化している。

ガイルの中足払いは屈み中キックでかがんだ片足を画面手前から奥に向かってシュッと払う技だが、絵的に伸び切ったカイルの靴の爪先がリュウのあしゆびに触れるくらいでヒットになる。これ初代ストIIね。

これがストIIダッシュだと、靴の爪先とリュウのあしゆびが触れるくらいでなく、少し重なるくらいでヒットとなる。つまり、ほんの少しだが短くなったわけだ。絵は同じでも。

中足払いひとつでもその変化で、リュウがガイルに歩いて近寄る時、どの距離でピタッと止まれば待ちガイルの牽制を空振りさせれるかという戦術が変わってくる。対戦でね。

ガイル対リュウという取り組みだけでも、なかなか奥深いもので、ストIIダッシュ全体としてはベガが上位に来るとしても、ストIIリュウ使いとストIIのガイル使いでルールをあらためて相撲を取り直すというようなことにも夢中だった。

しかし今になって振り返ると、ストIIが出てからストIIダッシュが出るまでの1年で本当にリュウ対ガイルの取り組みはプログラムを修正しないと問題があるというところまで煮詰まっていたのか、突き詰められていたのか、行き詰まっていたのか、わからない。

ハイパーストIIが出た時に、俺が初代ガイルを選ぶと、皆からどうしてダッシュガイルを使わないのかと問われた。ニーバズーカも無いしリバーサルも無い。俺は「中足払いの判定とか微妙に違うやん」とだけ答えた。振り返って考えると訪ねてきた誰しもが意味を知らなかった。初代からハイパーまでずっと付き合っているのは気付けば自分だけだったから。リバーサルも初代ではテロップ表示が無いだけで俺は「ある」派だ。

(例えばプログラマーの西谷さんでも、とっくにカプコンからアリカに移籍している)

他にはサマーソルトの攻撃判定が低い位置から始まるので相手の足払いの先に当てる「狩りサマー」が出来ること。これはダルシム戦で大きく変わる。サマーソルトの着地のスキが少なく、空中投げの間合いが広いなど、本当に色々のことが細かく少しずつ違う。

格闘ゲームのキャラ差というのは見た目とは違う当たり判定のほんの少しの変化でシーソーの傾きが変わってしまう繊細なものであり、初代ストIIストIIダッシュの気づかないくらいの変化が当時の対戦野郎の心を掴んでいたんだ。


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