仕事でヲタやってる女とヲタ話をするほど虚しいものはない

ヲタと腐女子の恋愛にどこか憧れる部分があってエロゲに興味がある。

俺は中高と男子校で恋愛経験のないまま、しかしエロゲエロ本とかにはあまり縁がないまま声優系アイドルの中でも人気のないオバチャンで他にファンがいないこの人なら競争がなくて自分にも、というような自信の無さが全面に出た恋愛観を持っていた。

バイト時代にゲーセンと同じビルにあるカラオケ屋でバイトしていた子が事実上の彼女であったが、カラオケ屋に超イケメンがあとからバイトに来てその子も他の女の子の全部そいつに持っていかれている感じがした。今思うと、ただそいつがいるだけで自分に自信がないから引け目に感じて疎遠になっただけのような気もするが、当時はそこまで自分の根本的な自信の無さに気づけていなかった。

専門学校に行き、ほとんどが2年下の輪の中で高専卒の谷と短大卒の高とフリーターをしていた俺は行くとこないから来たとか、学校で遊ぼうという感じでなくどうにか学校で何か身につけて働かねばならないという危機感を持っていた。だが恋愛面では小学校レベルで、エロゲーはやったことがない、いつの間にか年下グループのリーダーでイケメン茶髪と仲が良くなり彼も遊ぶのをやめて公認会計士を目指すと頑張りだした。学校の女子比率は9:1を割っていて、もちろん誰も当たらなかった。

俺としてはセックスに至らなかったという意味で当たらなかったと思っているが、学校で喋ったりデートをしたりはあったものの、どうやったらセックス出来るのかという気焦りがあり、そしてエロゲーはやったこともなかった。

またゲーム会社でバイトして、そこから就職するのだが、だいたい年頃の男子の間で「セックスしたことがあるか」は重要なテーマで、したことがないやつは童貞(どうてい)の烙印を押されていじめられる。いじめられるのは嫌なので「あるよ」と答えて適当な作り話をしてやり過ごしていた。

そして設計事務所に就職して、2年目あたり若手社員のほとんどが独身で、上司が気を使って嫁候補以外に使いみちのない女子を雇うのだが、誰もが奥手でプログラマー特有のキモさに敗れ、すぐに自分から辞めていく。

だんだん年上の経理のオバチャンが可愛く見えてきた俺は、もう誰でも良いと思い始めたが課長から経理の人は既婚であることを知り、会社帰りにゲーセンの裏手にあるセクシーマッサージの誘惑に負けてしまう。

もはや誰でも良いというヤケクソと、初めての緊張感と、おっぱいの柔らかさ、あたたかさ、などから、それまでのプラトニックな恋愛観とは全然違う「カラダの付き合い」がある相手への情感というものが分かるようになる。

しばらくは、何とかしてそのセクシーマッサージとカラダだけの関係から結婚に至りたいと色々の作戦を画策するのだが「そんなん出来るわけ無いやん」と笑われ、目当ての子というか少し年上だったが、店に行った時にその子が休みで、帰ろうとすると店員に「絶対いい子がいますから試して下さい!」と半ば強引に、しかし気持ちは浮ついて、店に入ったばかりの新人の若い女の子とセクシーマッサージをしてしまった。

23歳にしてセカンドストライクである。しかし、まだエロゲーはしたことがなかった。

友人宅で「やってみ」と言われて女の子とセックスしたあとハサミでその子が自殺するマニアックなエロゲーをさせられ、どんな感情を抱いて良いか分からなくなった俺はとりあえずトイレを借りて用を足し、エロゲーの世界にももっと不思議で奥深いものを感じ始めていた。

そのうちに、設計事務所を3年目でクビになって、そのクビはまあ雇用保険のための合意ではあったのだが、どんどんヤバイ香りがする会社ともお金の面で良いのならと契約するようになっていく。収入がどんどん上がり、会社員が昔に買えなかったキン肉マン消しゴム大人買いするかのような勢いでカラダだけの関係が増えていく。

もう、こんなになってしまったら純愛とか結婚とかは無理だろうなと思っている俺ではあるが、女子の方からは「フツーの男」と見られるようになっていることに気付いた。

ちょうどカラオケ店で女子を全部かっさらったアイツのように、専門学校で2年下だったアイツのように、女だ!と思って特別おどおどすることなく、もうあんなこともこんなこともしてしまった俺のことをどう思っているだろうと引け目に感じることではなく、この子ろくな恋愛したことないんだろうな、男にはエロゲーとかあるけど女子は困ることとか無いのか、どうやって処理するのかとか少し気にしながら、安易にカラダを売り物にする美女よりも貞操を守っている腐女子のようなのと話すようになった。

それでときメモで言うと美樹原さんとか如月さんみたいな変な女子飲み会で、俺はエロゲーは詳しくないけどときメモくらいはやったことがあるし、ハチクロくらいは読んだことあるし、男の漫画本には包茎手術の広告があって、少女漫画にはおっぱいを大きくする器具が載ってたりするよね、という話から、男同士ではセックスの経験がないのを「童貞」といじめる傾向があるが女子ではどうなのか、ということなどを懇懇と話した。

まあ、このどうしようもない俺でも「してみたことがある」のは相談相手としての価値はあるわけで、女子から見てもヤリチンよりはエロゲーとかで自分で処理して貞操を大事にしている人というのは当然魅力があるし、童貞がいじめられる男社会も理解できない、おっぱいが小さいのは確かに気にはなる、などなどと聞き出せた。

ああ、そうだったんだな、と思っても俺の遍歴を消せるわけではない。

しかも腐女子と飲み会などしてヲタトークで盛り上がる偽ヲタヤリチンがいるという噂や、そういう人を満足させるための腐女子メイド喫茶とかが出来て、一部のヲタの人が仕事で腐女子をしている女と楽しそうにヲタトークをしているのを傍目に見たりすると、そのヲタトークに入っていけない自分に経験がなかった頃の自分の自信の無さを投影したかのような変なヲタトークが出来ない自信の無さみたいのから腐女子系アイドルを敬遠する気持ちを抱き始めた。

そうこうしている間に、昔ヲタ仲間だった昔の自分をそのまま大きくしたような自信のなさそうなアイツが結婚したと聞いた。どんな相手かは聞かなかったが、いつの間にかニセモテ男と化した俺のうわさ話を信じている彼からは「うちの嫁なんて」というハズレくじ感を醸し出されるのだが、そのこじんまりとしたまとまり方が、俺から見て羨ましいのだ。

俺も時々死んでみたいと思ったりするのだが、今度腰痛が治って健康になったら、パソコンで難解なシナリオの名作と呼ばれるエッチゲームをしてみたいと思っている。

つけっぱなしのテレビで中川翔子ドラクエの映画の宣伝で「私の人生ドラクエで」みたいなことを語っているのだが、メイド喫茶のバイトのために前の日にドラクエやってきましたみたいな女と映画デートをしてギガンテスをメラゾーマで倒したところで楽しいかなぁ、俺は多分楽しくないなぁ、それよりもヲタ飲み会とかでオスヲタ同士でヒソヒソ話すエロゲーを元にした妄想恋愛のほうに未知の世界を感じるんだよなぁ。