細かい仕事のほうが専門性が高くなって役職が上がる

ピラミッド状の階級社会をイメージしていると、小さい仕事ほど階級が低い。

頂点にいる王様が司令を下しだんだん下に行くほど具体性が上がる。

IT業界でも、ITゼネコン、多層請負、システムエンジニアプログラマなどのキーワードで語られる業務システムの時代はその例外に漏れはなかった。

しかし、ノイマン型コンピュータのプログラムというのは多層的な階級社会を作らなくとも、命令を下して実行するだけの仕事なら、プログラムを書いたとおりに忠実に実行する機械なのである。

そうすると、王様がコンピュータを持って部下でなくコンピュータに命令を下せば良い。そうならないのは、命令がコンピュータで出来ることなのか、やりたいことに具体性があるのか、ということになってくる。

階級社会でソフトを開発するとなると、トップダウン式に上から「こうしろ!」と言われると、下が上を忖度してのぞんでいることは恐らくこうだろうと作る技術がいる。

それに対して「こういうものがありますけど、ご入用ではないですか?」と下から上に売り込む形になるのがボトムアップ開発になる。パソコンを買うと、ハードディスクを増設したり、マウスを自分好みに付け替えたり、USBにエビフライを挿したりするする感覚で、プログラムもモジュール単位で下から上に持っていくのだ。

俺は専門学校を出たすぐはバイトして中途採用設計事務所に行ったのだが、バイトの時はプログラマーひとりでゲーム1本だったので、このトップダウンボトムアップも分からず、現場に放り込まれて部長がああしたいこうしたいというのを課長、係長、主任を通さずに「それやったらこうしたら良いじゃないですか」と片付けてしまった。

それで3年くらい、そのまんまでプログラマーとしてのみ業務に詳しくなり、外資系メーカーに転勤する。そこでもサーバールームの一番奥の座席を用意してもらって、ひとりで全部片付けた。座席と体制の上では王様状態ではあるが、会社のソフトウェア業務をひとりで全部させられたのでとても下っ端根性に満ちていた。

しかし、難しいのは一番上と一番下ではなく中間管理職になってくる。上がったのか下がったのかトップダウンボトムアップかは分からないが、とにかく今は真ん中に近づいている。仕事がどこから来て、どこで片付いているか良く分からない。

よく分からないから、ゲーム会社のバイトか社長になりたいと時々思う。

ゲームプログラマーになりたいと思っていたのは35歳でいちど解消した。

超大手のロープレメーカーにゲーム内の地図の部分を制作して納品するという品目で請け負ったのだが、3ヶ月の納期で、ひと月ほどで終わらせてしまい、ゲームで遊んでいたデバッグのバイトの人にデバッグを任せてその人は地図のデバッグを任されたのが分からず相変わらずゲームで遊んでいて、2ヶ月手が空くのならとメインメニューを任されて、メインメニューは移動画面から呼び出されるのでそのインタフェイス設計をしたら移動画面の担当の人とどっちがどこまで受け持つかでやり合いになって、メインメニューから呼び出されるアイテムや魔法画面のひとの仕事を干してしまうことになって、最後は戦闘画面担当の人が結局ほとんど全部仕上げる格好となって、それで時間目いっぱいだったけど、納期の前日に文字表示だったパラメーターをアイコンにしたいと言い出して絵描きさんがアイコン描いて1日でそれをゲームに押し込んだ。企画の人が「えっ!1日で出来るんですか?」と驚いて俺は翌日から他の仕事に行ったのだが、何故か発売日はそこから半年から1年ほど後で、あの後どうなったかは気になったままである。

発売されてそのゲームを買ったのだが、購買後のアップデートもあって、もう「俺が作った」というには他の人の手が掛かり過ぎていて、参加したことも普段は隠している。

結局は、個々人のやる気にかかっていて、カネをばらまいて人を集めても組織的に協力して作るはずが、分からない部分の押し付け合いをする格好になると、細かい難しい部分をやる専門知識を持った職人的な人を重用しないと成り立たないと思っている。