今日のカルドセプト(ゲーム性が無くなる行為を減らしてみた)

カルドセプトMTGより実力の出るゲームやで」と大橋くんは言った。

かれこれサターン版が出た20年以上前の話である。

大橋くんは強かった。そしてMTGでも毎月ホビージャパンに名前の載るようなプレイヤーだった。俺がMTGをはじめたのは大橋くんを含むゲームサークルに勧誘されたのがキッカケだったが、そのグループでカルドセプトはすぐに話題になり、発売日に買い俺はコンピュータ戦をクリアする程度までやって、かったるいとやめてしまった。

こんなゲームでコンピュータとサイコロ合戦やって何が面白いんだ?と思っていたが、大橋くんは俺に教えてくれた。「少なくとも、フライとかHW6のような最初のブックに入っている軽いスペルは抜かないほうが良い。ゲームはマップ1周するとボーナスが貰えるから、相手の高額をスペルで避けてボーナスを貰うことを目指したら強くなるで」

いつからか、大橋くんはいなくなった。ネットの普及で強い戦法が文書化され、誰でも読めるようになり知れ渡ってから、アクション系でなく思考型の強いプレイヤーは種が明かされグループからお払い箱にされたようだ。

それでも、あの強いグループに混ざってカルドセプトを遊んでいたんだという連帯感のようなものは心にずっと残って、簡単には負けたくないとも思っていた。

近頃、カルドセプトが楽しくなくなっていた。勝利はトータルで8割以上、シリーズ通して1000試合くらい遊んでいて、運の偏りを加味しても勝ち越しているし直近勝率で考えたらもっと高いだろう。だが、面白くない。その原因を俺は考えていた。

カルドセプトの楽しさはダイス運に一喜一憂するところであるわけだから、ダイスロールの場面を全てスペルで制御して、自分は避けて相手は足止めでハメる。ブックがそこまで到達すると、あとは出来栄えの確認作業となってゲーム性はほとんどない。

そこで面白かった頃を思い出し、再びその頃のブックで戦い破れて、それからつまらなくなる禁止カードを自分で決めて、その枠組の中でブックを改良すると楽しさがよみがえった。

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近年はネットのWikiがあるので、誰でも攻略法にアクセスできるが、もしそれらが全部取り上げられたら、同じ知識レベルまで到達できるものがどれだけいるだろう。

あるいは大橋くんが干さえたのは自身で醸成した知識でなく、何かの受け売りであったことが露呈したということも考えられる。俺自身も大橋くんにネタを取られたこともあるし、反対に取ったこともあり、よく一緒に食事して談笑してゲームもふたりで遊んだ。俺の地元では相手がいないから、自分が負かされる、対戦して得るものが大きい相手だと思っていた。

実生活に於いてネットの普及は社会を急変させてきたが、ことゲームを遊ぶにあたりネットで答えを見るというのは賢いやり方のように見えて、ゲームを台無しにする愚かしい行為のようにも思える。書いている俺が言うのも何だが。

そうしてみると大橋くんの「カルドセプトMTGより実力の出るゲームやで」は発売されてすぐ、情報のないタイミングで同じゲームで1歩リードするその強さは受け売りでなく本物だったのではないかと振り返るのだ。振り返るとたくさんの試行錯誤をしてきた。まあ大橋くんが暇人だったから発売してから一緒に遊ぶまでに何度も回数を重ねたことも考慮すべきだがな。

そこまで暇人になれたこと、その暇を支えてくれる周囲の人、それにこそ感謝すべきなのかも知れない。

思えば攻略を書いてきたのも、勝負して負けた人が負け惜しみに「こんなもの」と腹をたてるので、それでなだめるのが普通なのだが、俺はちょっとコミュニケーションに難があって自分が上にならないと気がすまない。これはつまらないゲームで運負けしたのではなく「俺たちはここまで考えてやっているんだ!」と言いたかった。

カルドセプトは確かに運もある。しかし繰り返されるダイスロールの運量は多くのプレイヤーにほぼ等しく降り掛かっており、それを掴むべく少しでも得になる選択を繰り返したほうが勝つ。究極的にその選択は似通って来るとしても、見当違いのことをしているのと正しい選択では差は開く。

どちらかというと大上段から演説をぶつのではなく、ひとりひとりの声に耳を傾ける形で寄り添って作られたのが3DS版のリボルトになるから、そっちに移行するほうが筋だが、リボルトはゲームの開始時からファンとそうでない人の差が開きすぎていてあっという間にランキングサイトが閉鎖された。

実力で強い人と弱い人に分けられて、強い人が得をして弱い人が損をするなんてのは現実社会で既に充分に多くの人が思い知っていて、ゲームくらいコンピュータが負け役になってひとりでコソコソ遊べたら充分かもしれないよな。

俺もDS版の2周目は難易度高すぎると今でも思うんだ。やさしくなったから、つまらなくなったというか、やさしくなったから、それで夢中で遊んで、飽きてつまらなくなったんだよな。その途中の経験をすっとばして結果つまらなくなったというところにフォーカスしてはいけない。3DS版を1000試合遊んで、あらためてDS版を掘り下げるとまだまだ面白かったという。