高校生くらいになると力強いやつおるもんなぁ

今更になって振り返ると高校の頃に理科の実験でケンカの強いやつがイタズラをして俺に罪をなすりつけ、理科の先生が俺を叱った。そんな先生簡単にだまされないでよとは思うものの、その叱り方はとても優しかったのでそこまでその時は気には止めなかったが。

しかし、最近になって先生は真犯人が分かりながらも正面切って裁くのには力が足りず、あえて騙されて俺を叱って見せることで場を和ませるというか、俺もその時それに合意したのではなかったかと考えるように変わってきた。

学校には警察はいないので、教師で正義を保てるのは体育教師のような存在だけだろう。そこで学べることなど、強権に対する服従とか暴力に対する集団自衛とかになるんだろうな。特にいじめは論理よりも「多きに付け」だろう。

俺はヒョロかったので就職してからブルドッグのような部長に良いように使われて辛酸をなめることがあったが、ある時から、それが何時かというと野菜ばっかり食わせる母親が家を出てマクドナルドとかラーメンばっかり食って肥えてから、力が付き始めて簡単には脅されないプログラマーとなった。そうすると、変な用事を押し付けられることが減った。

そうなると、雇用者の最後の手段は首切りになる。法的な知識武装が出来ていれば抗えるのかも知れないが、突然のことだし雇用保険ももらえるしで戦うタイミングを逃してしまった。後に労働基準監督署から訴えたが争うよりも提示された示談金を目の前に引き下がった。

やるひとはもっとこう、ただ訴え続けて金を取る寄生虫みたいな生き方に舵切りするのだろうか。

それからも色々あったが、進んでいるなと思ったのは大阪ガスの研究所であった。社名は伏せるが、管理職の人が殴ったら死にそうなくらい小柄でヒョロッちくて誰にも上を取れそうもない人なのだが、皆がハイソーシャルで実力ではなく役職や言動を中心に立場をわきまえて働いているのである。そういうところはそういうところで人間関係の理不尽があるのだが。

若き俺は大義のようなものを探し求めていたが、近頃では自分の保身が基本になっている。老けてくる。顔に赤らみが出る。腰が痛くなる。歯茎が弱ってくる。忙しいと雑になる歯磨きを仕事よりも丁寧にしてみたり、スキンケアの洗顔料を買ってきて顔を洗ってみたり、アリナミンの錠剤を飲んでみたり、今の自分を今以上悪くならないように保ちたいのだ。

力が強くなって他人を威圧的に動かせても寄る年波には勝てないもの。歳を取って力がなくなるまでの間にカネや権力を保身に充分なだけ蓄えられるか。そうしないと若者相手にも下手に出るような商売しか残らないのだろうと思うと、高校の頃の先生を思い出すのだ。


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