解けないゲーム

ルービックキューブというのが子供の頃に流行った。
うちは買ってもらえなかった側だったが、お金持ちの家には大抵ある。
しかも、大抵はグチャグチャにされて誰も解けないまま放ってある。
二十歳を過ぎた頃にバイト代でルービックキューブを買った。
これが面白くて病み付きになり、分解してもう1個買って研究した。
そして、誰かの家に遊びにいったおりに発見すると必ず解いて返した。
それが後日にまたグチャグチャになったと聞くと妙に安心する。
「同様に」と括って良いか少しためらいはあるけれど、ゲームも同じ。
俺たちゲームマニアは様々なゲームを解いて面白いゲームを探して、
テレビゲームにボードゲームにカードゲームにパズルも端から試す。
そのために働いていると言っても過言でない知り合いもたくさんいる。
それで、ゲームマニア同士であれでもないこれでもないと話するが、
そんなにマニアでない人の家にも1台くらいはゲーム機がある。
そしてそれは決して解けない難しい局面で止まっているままだ。
話に出ると引き出しから取り出されてテレビに繋いで皆で遊ぶ。
その詰まったところを解いてみせると「おお、こうするのか」と驚き、
「同じようにしてみたいから前のところまで巻き戻しておいてくれ」
などと注文が付き、持ち主も「これでまた続きが遊べる」とよろこぶ。
ゲーム開発社の端くれとして「これからのゲーム」について聞かれる。
この話は「これまでのゲーム」の総評だと思ってもらっていいだろう。
解けないで何度も考えて、1人で悩み、ときに人に相談する。
そういう難題の引っかかりが無いと忘れられてしまうだろうな。


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