勝者はひとり


格闘ゲームやカードゲームというマイナーな趣味で、だからこそ同じ趣味の人がいると仲良くなりやすいというメリットもあるんだけど、マイナーな趣味を持っている人はもっと人が増えればと思っている人が多いよ。


しかし、いざ人が増えてみると、マジックの大会にしても50人集まっていたのが2000人集まるようになったら、40倍の参加者になるけれど、優勝者は40人になるわけでなく「裾野が広がった」という感覚よりは「頭がつっかえている」という感覚を味わう事がむしろ多いのよな。タイトル戦とか上のほうをクローズアップするとね。


じゃあ、つっかえて勝てないから面白くないかと言うと、奈良にもマジックのカードを扱う店は増えたし、大きなイベントに出なくても地域の店で遊べば相手も見つかるしタイトルなど気にせず遊べるようにはなってる。そっちをクローズアップすると裾野は広がっているんよな。


15年前にマジックが流行り出したとき俺は大阪まで出て遊んでいて、情報を持って帰ってきていたので、地域にもカードショップが出来て流行の離れ小島のような現象が起きていたのだけれど、数年で廃れて店は閉まり、しかし15年経ってみると近所にはカードショップはなくても西友のおもちゃ売り場に遊戯王のカードが置かれていたり、電気屋さんにマジックのカードがあったり、隣の市には専門店が出来たりと囲碁の板が埋まって行くようにカードゲームで遊べる場所は増えている。


それで奈良のショップで遊んでいても、いっときはプロの端くれとして大会に出ていた腕でも、店でいちばん強い子供とやると負ける事はあって、地元で負け無しだったら大きなイベントに出ても見込みあるかなって思うけど、奈良の子供に負けるのに全国大会は行けないなって思って引退したんよね。子供と言っても歳を知ってるわけではないので小柄な大学生かもしれんけどね。


マジックって出た頃から「ブームは持ってあと2年」と言われ続けて20年経って、引退サイクルもだいたい2年だったんですよ。スタンダードといわれる大会ルールがあって、昔のカードを持っている人に新しく始めた人が勝てないのは当たり前に過ぎるので、過去2年以内に発売されたカード以外は禁止カードになるんですよ。それで始めて2年経つと最初に買ったカードが使用禁止になってやめる。考えたら普通ですよね(最近はだんだん古いカードも使えるモダンというルールでも大会が増えているらしいです)


そうやって20年関わったり離れたりしているとルールが変わっても変わらない不文律が見えてくるし、そういう目で見ている人は他にもたくさん居て、最初に書いたように頭がつっかえて勝者は実力は勿論あっても、その座につける人は幸運にも恵まれたということであって、腕や知恵で必ずしも勝っているとも思わなくなりましたよ。情報が少ない頃に雑誌で勝者がクローズアップされると何か憧れのようなものがあったけれど、パソコンにもケータイにも自撮りカメラが付いてて放送なんかも気軽に出来ちゃう世の中で、マジックの大会で解説ブースに人が呼ばれると「今日のラッキーパーソンはこの人なんだな」という感覚で見ています。さらに言うと司会や解説からスベる振りをされると「この人アンラッキーだな」とも思いますよ。ええ、インターネットの無い時代は雑誌に写真が載るだけで大変な事だったんですよ。それに出版物だからインタビューひとつとってもプロの編集がついてますからね。


まあ、このブログはつっかえている頭のほうより広がっている裾野のほうにクローズアップしてゲーム業界を支えて行きたいとは思いますね。圧倒的に長いのは大会と言う非日常より地域で生きる日常ですから。そちらを豊かにしたほうが幸福になる確率は高いと思いますね。大会参加者2,000人でニコ生視聴者90,000人だから、関心を持っている人はまだまだいるはずなんですよね。


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