俺の愛したストIIは一人用

過去って無意識に美化されてるから思い出したら間違ってるかもしれない。例えば俺の場合はストIIに夢中で連勝記録や店舗大会優勝や全国敗退など、ストIIの面白いところって常に誰か人間相手の対戦だったよなと思い出す。しかし、よくよく振り返ると一人でコンピュータ戦をやった時間が長いのよ。


ストIIシリーズの一人用って勝つためのパターンはあるんだけど、わざとパターンを外して色々の技で戦うとなかなか奥深いのよ。することが無い時に誰もいない寂れたゲーセンでストIIの新しいパターンが無いか模索するのが好きだった。他のゲームでも出来たかもしれないけど、ラウンド制で一本落としても大丈夫ってのがあるからパターンで勝つのは三本の内の二回で、一回試すということがクリアを目指しながらも簡単に出来た。100円で結構長持ちするゲームなんですよ。


あの頃は全国優勝みたいな目的意識が無くても日々楽しめてたんですよ。そしてその結果としてストIIや亜種諸々詳しくなって、その経験があるお陰で新しいゲームが出るたびに勝てて、勝てると誰も入って来ないから台を占領出来てまた一人で新しいゲームを研究出来た。


それを思い出したのは今日がやたら退屈で、あの頃の楽しさって何だったんだろうとひたすら記憶を辿ったんですよ。昨年末に奥歯を抜いて、正月に旨いもんを食べながらクチいっぱいに頬張ると歯が無いところが気持ち悪くて「ああ、何も考えずに頬張って食べれるって幸せだったんだな」と。ストIIも同じようなことかもしれない。流行っていた頃は日本全国至る所にゲーセンがあって、旅したら店があって人がいてフラッと入って対戦出来て勝ったらまた一人用を遊んでいた。今はゲーセン自体減ってますからね。


訓練の成果を試す対戦と言う場が無くても一人用が楽しめるかはまだ疑問もありますけど、本質的にはひとりの寂しさを紛らわすために対戦形式的のフェアなコンピュータゲームに没頭出来たわけですよ。また、何か大きな目標でなくて日々を豊かにする趣味は案外と身近にあるんじゃないかなって思える。


何事も最近は「それが出来て何になる」ということを先回りして考えて取り組まないってサイクルにハマってる気がする。ネットもあるから、ひとりで籠っても外の流行がどこか気になる。そういうの関係なく、ゲームの中にまた自分の世界が構築出来たら充分に日々の楽しみになるんじゃないかな。


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