歩いて昇龍拳をシームレスに出す

朝の情報番組でロボットの役に扮したアナウンサーがプログラム通りにおにぎりを食べるという一幕があって、飛び石のような言葉で人間同士で間を補完して成立しているやり取りであってもコンピュータに指示を出すプログラミングってやつはその間の補完している部分を言語化しなくちゃならなくて七面倒臭いから、義務教育になって子供にいかにそれを伝えるか、みたいな話題だった。

けど、もともと社会やその構成員である大人に不合理を感じていた俺はプログラミングという仕事に出会ってから、こんなに合理性の追求が成果に直結する面白い仕事はないと思ったまで言うと言い過ぎだけど、天職だと思ったもんだよ。

んで、何だっけ、そうだ、昇竜拳だ。右、下、右斜め下とレバーを入れてパンチボタンというコマンドを入れれば出るんだから歩いて出すには右入れっぱなしで下、右下と入れてパンチ押せば良いんでしょと思う人もいることだろう。

このコマンドってやつがどういう感覚というか入力がコンピュータに認識されるための経過時間とか間が離れていても連続していると認識されるための間隔とか、色々の問題があって文章では辛いんだけど、最初大体みんな昇竜拳が出なくて「要は歩いてから波動拳だろ?」と思っていたものが、昇龍拳が自在に出せるようになると歩いて昇龍拳がでなくなる病の人が結構いて。これから説明する。

何故最初は昇竜拳が出ないかと言うと、大抵は入力が遅く受付経過時間を過ぎてしまうとか、右の後に真下のつもりが左下に入ってこれにより最初の右入力から下が不連続とみなされてしまうとか、種々の問題があるんだけど、脇をシュッと締めてカチャカチャと入れると昇竜拳は出る。そうなった人は大抵、レバーのニュートラルからオンまで倒し、遊びの部分まで右に倒しきらずに下に移動している。それが成功。

ではどうして昇竜拳が出るようになると歩いて昇龍拳が出ないかと言うと、右に歩く時は右に入れっぱなしにしているためにレバーを遊びの分まで倒してしまって、そこでいつもの感覚で昇竜拳の続きを入れようと脇を締めてカチャッとやると、ストロークが足りなくて中央から見たら右下までしかレバーが戻っていない人が多い。

これを克服するには二通りあり、右いれっぱから下に戻す時に普段の感覚で左下までと捉えているくらいのところをめがけて残りのコマンドを入力するか、右いれっぱを倒しきらずにセンサーの位置で固定するかだ。

このように言葉で説明するとクッソ長いが、実物があって隣で指導したり図があったりすると楽勝な案件なのであるが、いちばん難しいのは昇竜拳は出るけど歩いて昇竜が出ないというレベルの人とそれを伝えたい俺がマッチングすることである。

歩いて昇龍拳を何に使うかと言うと近距離での垂直ジャンプや画面端でのバックジャンプを歩いて潜って真下からカチ上げるように対空する場合や、ちょっと手前に落ちそうで正拳突きや回し蹴りで落としたほうが良さそうな前ジャンプを無敵技の安心感で迎え撃ちたい時が一般的であるが、究極の使い方は何も出さずにズカズカ歩いていって相手が何もしなければ投げ、何かで投げを阻止しようとボタンを押したらその技を昇竜拳で返すという理想の戦術を取る時である。

極論、昇竜拳がダウン技になったストリートファイターIIダッシュ以降からはこの戦術だけでも勝ててしまう。

それを巡る論議はまた別の機会として、昇龍拳は出るけど歩いて昇龍拳が出ない人を見つけたらこの記事に書いてあることを教えてあげて下さい。

こうしてみるとストリートファイターの研究ってプログラムの研究とかゲーム理論による論理や確率や探索みたいな良判断の追求という面もあるにはあるけど、極めて属人的な部分があるんだよね。相手がゲームのことを分かっていても、相手がその人のことを分かっていると昇竜拳だけで勝てる。色々とね、アプローチがあったんですよ。


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