エイプリルフールだから言えること

ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズを追いかける女子アナ

その名も「エイプリル」なのであるが、テレビなんてものは万年4月1日というアメリカンコミックス流のジョークなんだろうかね。当たり前っちゃ当たり前。

子供の頃にテレビでTMネットワークを見た時は本気で木根尚登が弾いてると思った。

そして俺はギターに憧れ続けて、しかしウォークマンを聴いて歌を歌うだけで20歳になってしまい、ついに高校で軽音部を卒業した友人からギターを譲り受けて本屋で「ロックギターを弾ける本」という何ともすごいタイトルの本を買ったは良いが、何ともならずにそんなことも忘れて30歳を過ぎた。

いつの間にか俺は子供の頃のもうひとつのあこがれであるゲームプログラマーを目指して業務系のプログラマーをやっていたが「ゲームプログラマーになりたかった」「充分もっと良い仕事してんじゃん」「ミュージシャンになりたかった」「そんなことより安定した将来のが羨ましい」などと飲み屋でグチるたびになだめられると言うか、それは愚痴ではなく寝言として流された。

しかし、そんなにその時の俺が恵まれているなら階段を降りるようにゲームプログラマーやミュージシャンには成れないものかという疑念も湧いてきた。雑誌「ファミコン通信」で一番偉いのは編集長の浜村さんではなく、インタビューを受けているゲームプログラマーだと思っていたし、ギターを奏でてシャウトするロックスターはサラリーマンでも休日にヘドバンしにいく神のような存在であるはずで、いっかいのサラリーマンとか有限会社の社長くらいがゲームプログラマーとかロックスターより恵まれているなんて有り得ないハズだ。俺が間違っているのか?違う!みんなが間違っているんだ!

俺は自己投資として「ゲームプログラマーになる前に覚えておきたい技術」という本を買い、カシオの電子ピアノでファイナルファンタジーの曲を弾く練習も始めた。

そして俺はついに自分のパソコンで3時間で伝説のゲーム「倉庫番」を自作した。

やればできる。ゲームプログラマーになるにはいきなりバトルガレッガのようなすごいゲームを作るために何から何まで極めてどどっと一発で作る日までゲームをプログラムしてはいけないと思っていたが、簡単なゲームからコツコツ作るというはじめの一歩を俺は踏み出した。

そしてピアノをちょっとだけ弾けるようになった俺は調子に乗って小室哲哉と同じシンセサイザーを買い、打ち込み系の付録つきの音楽雑誌を取りためるようになった。

そして、打ち込んだ音源をUSBメモリに入れてシンセサイザーにつなげると俺の部屋からファイナルファンタジーの序曲にとても良く似たドビュッシーの「夢」が響き渡った!

パソコンの小さいスピーカーではなくアンプから鳴り響いた美しいピアノの音色に「だれが弾いてんの?」と近所の人が騒いで「最近シンセサイザーか何か買ったらしいよ」「うそん!こんなに弾けんの?」という噂が立った時に「いや、パソコンで打ち込んだのつないだだけなんやけど・・・」「そんなんしてんの?」「だから何もしてないの!」と反論しても聞いてもらえず、何かシンセサイザーで「やっている」ことにされた。

しかし、俺のあこがれは実はコンピュータマジックトラックパッダーではなくプログラマーとかギタリストという如何にも自分の手でメシを食っている感じのする職人である。

10年プログラマーをやってから、倉庫番をはじめて作った感動を思い出し、まずはギターのチューナーや教本の入った入門セットを通販で買うことにした。

まあ、その後も結構長いエピソードがあるのだが、ギターもかれこれ7〜8年は続けていることになる。いつまでも入門セットではなく速弾きなんかもやってみたい。

しかし、速く弾けば弾くほど、速いピッキングをいうのはどうしても速さと力の関係で強いピッキングになるので強いストラミングになり、弦が強く弾かれてビーンと響いているところに逆手でストロークすると何とも悪い響きの音になり、聞くに堪えない。

これはエイプリルフールだから言えることだが、もしかして、俺の目指しているレベルの速弾きってギターじゃ無理なんじゃないだろうか?

まさか、ギターの音をサンプリングした鍵盤楽器やプログラムシーケンサーで超絶速いギターの連弾が鳴っているのに合わせてギタリストが踊っているだけなのか?

いや、そんなわけないよ。

そんな簡単なトリックが見抜けないような人がライブに行くための4000円もするチケット代を稼ぐ能力があるはずないんだし、何万人と集まってヘドバンとかするわけないじゃん。

そうだよそうだよ。

そんなわけないよ。

やっぱそうだよね。

「ネー!」

というわけだ!

やっぱり俺のあこがれはギタリストなのだ!

だけど、ゲームプログラマーについては40歳まで頑張ってみて、最近ではもうゼルダの伝説ラーになってしまえば良いように気がしてる。グラディウサーくらいには成れても、ゼルダの伝説ラーに先ず成らないとゼルダの伝説を一から十まで1人で作るスーパープログラマーには成れないような気がするんだ。いや最近パソコンのスペック上がってるから何もかもかなぐり捨てて打ち込めばゼルダくらい出来ない気もしなくもないけど、それは出来上がりを先に見たり聞いたり遊んだりしているから、模倣とか習作の域は出ないんだよ。

ギターについても、多分そうなんだ。プログラマー10年目ではひとり分の仕事の分量の見積もりが自分の腕なりで、ひとりでゲームを全部作るなんて到底と思っていたものが、20年目になってみると出来るかもなと思うようになる。

同じようにギターももっと上手くなって良いギターに買い換えて、そして哲学観すらもっとあらためて、TMネットワークは小室鉄哉プロデュースに見えるかもだけど、実は木根さんのギターが全てを司っていて、木根さんのギターが耳から小室哲哉に入って小室哲哉をパペットのように扱って全てを奏でているんだと思えばそうかもしれない。

いやお前、それはいくらエイプリルフールでも言いすぎだろ、ダマされないぞと思うかもだが、人をだますためにはまず自分からと言うではないか。そうなのか?

そろそろ、疲れたきたからやめる。

いやほんと、これはあくまでエイプリルフールだから言えることだからな。


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