格闘ゲームはゲーム理論的にはわりと単純だけど、スポーツ要素というか展開が速くボードゲームのように1手ずつ長考することは出来ない。
ただし、対峙のシーケンスでは一触即発の緊張感を持っていても、ダウンを奪った後に投げに行くべきか打撃に行くべきかの選択などは予め決めておくことも出来るため、反射神経だけですべてが決まるわけでもない。
今回は特に選択を予め決めておかずに全て待って見てから見切って返すという戦法がどういう風に突き詰められていったか、振り返ってみたい。
まず、ストリートファイターIIの波動拳は見てから飛べる。
しかし、波動拳を見てから飛んでいるつまり気弾を構えるアニメのモーションを見てから飛んでいる人は少なくて、コマンドを入力する際にキャラが一瞬しゃがんでカクッと動くのを見て飛んでいると、カクっと動いて立ち弱キックを出すというフェイントで釣られて飛んでしまいキックのスキは短いのでリュウ側が相手のジャンプに昇竜拳を間に合わせることができる。というフェイントが通じる時代があった。
もうひとつ発明されたのは中パン波動拳だ。波動拳を入れる際にしゃがむモーションが見切られるなら、立ち中パンチの正拳突きを空振って、その間にレバー下方向に入れても画面の見た目は正拳突きのままなので、正拳突きが終わるタイミングでコマンド完成させておいて、波動拳を打つ打たないの選択をかける。
これはフェイントとは反対に仕掛けるタイミングを教えてしまうようなものであるが、打つ打たないをモーションからは見切られないため、主導権はリュウ側にある気がする。冷静に考えるとコマンドを入れて押す押さないだけでも変わらない気がするが、しゃがみモーションを消して影縫効果や牽制効果があるので好みの範囲に収まるのだろう。
対峙の場面以外に起き攻めの投げハメにもフェイントはある。初歩的なものはジャンプ強キックから歩いて詰めて足払い(しゃがみ強キック)というもの。飛び強キックを相手にガードさせると相手はガードモーションで少しの間固まって操作が効かない。操作が効かない間は投げることも出来ないのだが、操作不能が解ける瞬間を狙って投げる投げハメは操作の精度が増すと固まっているのを投げられるがごとく抜けにくい。
しかし、実は受け手が同じ精度で投げ返しを入れるとハメから一転返し技の大ダメージになる。
ジャンプ強キックからの足払いはガード硬化中しゃがんでおけばガードになり、ガード硬化が解ける瞬間にレバーを下から横に倒して投げ返しを入力する。これが投げハメか足払いかに対するファジィ入力なのであるが、ガード硬化が解ける瞬間に足払いがちょうどヒットするように足払いまで間を開けることで、どんな入力をしても半丁博打から逃れられない完全二択となる。フェイントとはちょっと違うかもね。
「突き詰めるとどうなるか」ではなく、格闘ゲームがいかに突き詰められていったかを少しずつ書き残すほうが有意義かなと思って少し書いてみました。なんで今さら餓狼伝説スペシャルやストZERO3の記事が読まれるのか謎ですが、ストIIの記事はどうなんかな。ストIIは分かるけど後続のゲームがわからんからオルアバ買う代わりにネット検索するんでしょうかね・・・。