「あの人、ゲームしてたらお金くれる」

ビッグイシューを街頭で買ったことがあるだろうか。

格闘ゲームというのは1992年頃から流行ったゲーセンのゲームのひとつのジャンルであるが、その特徴はそれまでひとりでコンピュータと遊ぶのが当たり前だったゲーム機が、まず一人でゲームを始め、その台とケーブルで繋がったもう1台でゲームを誰かが始めたら、互いのキャラクター同士でのバトルになり、勝ったほうがゲームを継続して負けた方はゲームオーバーになるという仕組みだった。

これでゲーム台を挟んでのケンカも良く起こった。台の向こうから怖いお兄さんがやってきて「お前なにハメとんねん!ああっ?オラッ!」というケンカもたまにあったが、そうではなくゲーマー同士の腕くらべの意味でのケンカであった。

しかしまあ、ブームはすぐに過ぎて、廃れても続けている者同士でゲーセンにふらっと来たお客さんかゲームにだいぶのめり込んでしまった人かというのは通信対戦での腕くらべの後に「こいつは使い手だな」と判断して、だいたい1回100円かかって台ごと買うと40万円とかの時代にゲームをそこまでやり込むのはお金持ちのボンが多く、それでゲーセンでつるんでマクドナルドや餃子の王将にメシを食いに行くというのはそこまで危険とは思っていなかった。

そして、そういう仲間同士で帰りの電車賃まで使い込んでしまったとか、負けが混んでいるけどどうしてももう1回遊びたいみたいな理由で100円から500円くらいのカネの貸し借りも日常茶飯事だった。ストZERO2くらいまでかな。1996年くらいか。

それがスーツを着て会社づとめになってから、だんだんと周りとの小遣いの格差が開き、ちょっとメシでもというのが俺もちになり「100円かして」が1000円になり、スーツでゲーセンに来てお金くれる人、みたいな噂をされていたんだと思う。ついには5000円貸して連絡が付かなくなったり、東京まで行ってダビングしてもらったゲーム攻略のビデオや同人誌が盗まれたり、しまいには携帯ゲーム機やゲームソフトなんかも借りパクされた。なんで貸すんだとこの文章だけではわからないと思うが、もうそれくらい露骨に俺からなにかを取ろうとしている人々がゲーム仲間にしてもらったら金を借りる口実が出来ると思ってプレステでゲームを練習しているだけだったという。この頃、スーファミストリートファイターIIで100円。プレステのストZERO2で980円くらい。

いつの間にかゲームの上手い人イコールそこそこ金持ちのボンという公式は崩れていた。