親父が指を切ってしまった

電動ノコギリで庭木を切っていた親父が突然大声で「キョウスケ!っっっ!」と叫んでどうしたものかと見に行ったら軍手が赤くなっていて「キュ、キュ、救急車!呼んでくれ」と言われ慌てて救急車を呼んだ。

救急車を呼ぶ時に「親父がチェーンソーで指を切りました」「仕事中ですか?」と聞かれ「はい」と答えたので救急車が家に着いてから搬送までの間に現場写真撮影とか労災関係と思われる手続きがあり、またコロナウイルスで病院の救急外来が混んでおり、救急車がなかなか走り出さない。車の中で止血のタオルと軍手をはずしてみると不幸中の幸いで指は繋がっているようだ。

とても家から近いが滅多に行かない田北病院の救急病棟に親父が搬送された。消防署や事務方の方に外で待ってくださいと言われベンチに座っていた。そして待っている間に消防の方が帰ってガタガタと音がして待てども待てども処置室のドアは開かず、ひょっとしてガラガラと手術室に搬送されていないかとベンチを立って病院をうろついてみると救急病棟は裏口の搬送経路と反対側の受付側に中で繋がっており、看護師さんが「レントゲン取ってますんで」と教えてくれたがその後の行き先がわからず、我慢していた小用を足してからさらに病院を探検すると事務の方に「どうかしましたか?」と尋ねられ「処置室から出てこないんですけど手術もその中ですか?」と聞き返すと「まだ中におられるようなのでお待ち下さい」と。

仕方ないので元の場所に戻って待っていると、レントゲンを教えてくれた看護師さんが悲壮な表情で処置室から出てきてうつむいていたので「大丈夫ですか?」と聞くと「いや、僕、医者じゃないんですいません」と逃げてしまい、それでも待っていると中の看護師さんがドアを半分開けてくれてそっと覗くと親父がベッドで寝ていてそこから出したてをお医者さんが縫合していた。

お医者さんが処置室から出て、それでもドアは閉められたが、指は繋がっているみたいなので安心して缶コーヒーを1本飲んだら飲み終わった頃に中か呼ぶ声がした。「息子さんどうぞ」

中に入ると親父はベッドでなく椅子に腰掛けていて、パソコン画面にレントゲンが映っていた。左手の人差し指の先から2番目の骨が割れている。

化膿止めと痛み止めを出してもらい、会計を済ませツッカケのまま救急車に同乗したことを後悔しながら歩いて通りがけに姉の家に寄ってケガのことを報告して、夕食のほかほか弁当を買って帰ると、弁当屋で別れて先に帰った親父が台所でタバコを吸いながら「しばらくバイクには乗れんのう」と肩を落としていた。

庭木を切る時に電ノコで誤って電線を切ってしまい壊れてハンダ付けする姿を何度か見ていたが、今回はコードを切らないように気をつけていると軍手を巻き込んでしまったようだ。バッテリー式とか売ってないのかな、と思った。

5月4日に手術らしい。元通り指が動くようになってまた趣味のバイクに乗れますように。

トレカで遊んでいる場合ではない気がしたが小説風にブログを書いている場合でもないか。

外出自粛で商店街が休みのところに救急車が来て色々と噂がたっているかもしれませんが、親父が指を切ったという話でした。誰か近所の人が読むかどうかは分からないんだけど。

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