シャープが鴻海に事実上の買収されるまえに現場にいたんだが

先の記事でちょっと森博嗣の小説をけなすようなことを書いたのでファンの人にお詫びを。

俺自身もファンとして楽しく読んでいたし、小説の中に散りばめられる言葉から受けた影響は計り知れなく。

ご本人も臨機応答変問自在などで「結局は人気商売ですよね」「人気商売以外にどんな商売があるのでしょう」と答えを濁しています。小説は人気商売として書かれたものです。本人の職業も現在は小説家ですが、もともと教育者としての職があったはずです。先生仕事を人気商売にする「GTO」や「ごくせん」ちょっと古いですが「金八先生」みたいな作品があって、そういうものが人間ドラマとして人気を取っている中、森博嗣先生の作品は大学を舞台に学問をする人がかっこいいというスポットライトの当て方をした異色の作品だとも思うんですね。

ただ、生徒の人気を取るというのが教育かと言われると、ちょっと疑問です。将来国家を支える人間を育成するために省庁からお金が出ていてお給料をもらっているわけですから。

全然話が違うんですけど、俺は株式会社シャープに勤務していたとき、開発現場で何か問題があると上位の人間に伝達して指示をあおごうとしました。しかし、現場はもともと隠蔽体質、もみ消し体質なのです。下は騙すな上を騙せが主事の言でした。

たしかに、液晶テレビが売れて景気の良い時に関係のない製品の開発部門と言うと利益消化が目的なので、クビにならないように問題を起こさずゆるゆる報告を上げていれば自分の好きな研究開発とか俺の場合は喫煙に珈琲と、ゆるゆる仕事ができたのです。

しかし、企業というのは利益を出さないと給料が出ないので、開発費をドブに捨てるような大問題が発生しかかっているのに上位のものや経営陣に伝えないで騙すというのは背任行為です。結果としてシャープの経営は傾き、買収に至ったのですが、原因の一端はその隠蔽体質にあったのではないかと思うんですよね。

そう考えると森博嗣の取った副業として小説を書き、教員としての仕事を人気商売と比較して専門書でなく小説で読者に媚びて小銭を稼ぎ教職を退職して悠々自適に暮らすというのは背任行為として咎められてもおかしくはないと考えるのです。

つまり、「結局は人気商売ですよね」「人気商売以外にどんな商売があるんでしょう」への答えは「教育は公務であり商売ではない」ということになるのかなと今更に答えてみるのです。

それでもファンとして読んでいるのは、森博嗣の背任行為は外部に対して秘密であった大学の内情を小説化することで、学外の人や広く受験中の高校生などでも大学の仕事に触れる機会を作ったということで、これは確信犯です。

その意味で俺もIT業界のことに切り込むのでなく、もっと作品の中にそっと表現するくらいのやさしさで静かに改革や革命というほどでなく、脱獄や亡命のように生き方を変えるその生き方にどこかで憧れてブログを書いているのですが。


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