盗塁があるから牽制があるわけで

 まあ野球と対戦格闘ゲームはぜんぜん違うものではあるんですけど。

対戦格闘ゲームは新しいものなので、その攻略に多方面から用語を引っ張ってきていて、特に打点とか牽制というのは野球用語だと思うんですよね。

格闘ゲーム波動拳がピッチングで、波動拳をガードがストライク、モロに食らうとワンアウト、甘く飛び越して対空昇竜すると凡フライ、ドンピシャで飛び込んで飛び蹴り当てたらヒット、深く飛び込んで飛び蹴りからコンボ決めたらホームランという感じかな。

それで波動拳のピッチングにストライクとボールがあるわけでなく打つ打たざるで飛ぶ飛ばざるがあって、打たない待ちに対して相手も球があると打てば攻守交代のような意味があって、歩き投げは盗塁、それに対して中足払いが牽制になりますよね。

それで牽制ってのは盗塁があって初めてダメージ源になりうるようなものだけど、差し込む足払いは波動拳に対する牽制にもなるし、足払いと歩きの間合い取りと牽制を放つタイミングだけでも細かい技があるんですよ。

そういうノウハウはストIIIではほとんど役に立たず空中ブロッキングでカタが付くんだけど、ストIII2ndでまた対戦人気があってコミュが出来て、俺は足払い戦重視のストZERO3に興味があったんだけどZERO3コミュはネットでみんなつながっていて、ストIII3rdがリリースされてからストIII2nd勢をストZERO3勢で攻略してやろうという話になった時にブロッキング対決で正面切って挑むと相手に分があるので硬化差とヒット確認で足払い戦でなら勝てるとなったんよね。

それはもう、訳なく牽制が決まって勝ちたい放題40連勝も当たり前という走り出しで、もう記憶が風化して40連勝という数字は今から現役を相手にもう一度叩き出すのはおよそ難しく、当時のことも実力差でなく野球でいうと投手戦より打撃戦になった時にそれは投手や守備の落ち度でなくファンサービスの打たせ合いではないかとも思えてくるんですけど。

いや勝ってただろと。よく思い出せと。ストIIから7年やりこんだ足払い戦が今でこそ研究され尽くして差がつかなくなっているけど、当時のゲーセンに並ぶ常連とストIIから持ってきたノウハウが切磋琢磨の末に近くなるまでやっぱ同じ7年間とはいわずとも数年かかったはずだ。

それは俺に丁寧に指導するだけの整理能力とロジックと語彙がなかったせいもあって、今から丁寧にまとめるともっと早く上手くなれるテキストに仕上げられるかもだが、あん時は40連勝分開いていただろ。

みんな野球理論と格闘ゲームを比較できるほどルールとゲーム理論に精通しているわけでなく、待ち合えばなかなか効果の出ない牽制でも、敬遠で1塁に進塁、盗塁しようとして牽制でワンナウトを3回繰り返してスリーアウトというような塩梅だから、そりゃ何回やっても相手は得点圏に入れずずっと勝てるわけで。

結局の所、牽制をブロッキングしようとすると中下段の2択をモロに食らうことになるから、ちゃんとガードするか空振りさせるか中下段のリーチ差を把握して短い方は空振って長い方だけ取れる間合い取りをして狙いを絞ってブロックガードする、というような動きを身に着けない限り、打撃の見えないバリアと言うか張り巡らされた赤外線防犯センサをかいくぐってお宝を取りに行くように投げられる間合いまで歩きとダッシュで詰めるのは難しいですよ。

そして反対に相手が待った時にもこちらが攻める時に相手の牽制の手腕は出るわけだから、アッサリ近寄れる相手には投げとヒット確認コンボの2択で威力勝ちすることが出来たのよね。

 

それらを復習してから俺がストZERO3やストIII3rdに行く前にメインだったヴァンパイアハンターをもう一度詰めたいとちょっと触ったんだけど、自意識としてメインゲームであったというか練習よりも実戦経験を積んだゲームだったのでひとりで詰め直すと実際にはストZERO3やストIII3rdほど考え込んでいないと思うのよね。ゲーム自体のシステムの難易度に飲み込まれている感じで、難易度に対する操作の熟練度が拮抗した対戦というのは本当に数人としかしたことがなく、操作練度でほとんど決まってしまう。

けど、それで良いしそれが楽しさの秘訣だったとも思うのよね。上手いやつが勝って何が悪いって。キャラ差や読み合いよりも腕で勝てるというのは練習好きにとってこの上ないわけで。

最近はテレビでリモコンを使ったじゃんけんゲームが挟まれたりするけど、その読み合いだけで楽しめるかと言うと、ゲームはやっぱ駆け引き以上に映像やサウンドでの快感に裏打ちされた楽しさで、格闘ゲームもヒットの演出が楽しさの源だよな。野球の醍醐味がボールとバットが当たったときの「カッキーン!」って音にあるとでも言うか。


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