今日のMTG(公式のクロックパーミッション特集は秀逸だった)

クロック・パーミッションの基礎を作ったのは俺だと俺は思っている。ミラージュブロック構築で藤田さんに赤青の実験デッキの調整に付き合ってくれと頼まれて東京遠征に付いて行き、帰ってから赤青のスタンダードは出来ないかと組んでみて、丁度その頃に中国のプレイヤーが赤単でカウンターポストを倒したというニュースとデッキレシピが公開されていた。

高価なカードを山のように持って「すべてのカードをあると仮定してデッキを組む」日本と違って、当時の中国は今の強い中国のイメージでなくおもちゃの買えない貧しい国として語られていた。「鉄爪のオーク」と「火の兄弟」というコモンカードが入っていて、一体どうやって勝ったのかと並べてみると驚くほど展開が早かった。それからトーナメントの過去記事が探されて、スライのマナカーブにたどり着く。スライの理論はそれがトーナメントで勝ったときでなく、カウンターポストがトーナメントを席巻して日本でマジックが流行った後に振り返る形で有名になったのだと俺は認識している。

それで、俺もそんなにカードがなかったので、鉄爪のオークという持っているカードからデッキを考え直して、2マナパワー2を2体呼べば4点入るので、そこから「記憶の欠落」と「冬の宝珠」に「大クラゲ」を出してとにかく5ターンしのげばどんなデッキにも勝ち目があるというプランニングをした。結果はベスト8で、藤田さんはしきりに「このデッキ強い!この原型は俺のミラージュブロック構築ねん!」と語っていた。

しかしクロック・パーミッションという言葉が出来たのはもうちょっと後で、俺のデッキは特に何の記事にもならず、回収されるデッキリストはユーロ圏のトーナメント情報としてサイドボード誌に載るという現実に抗いがたいものを感じてもいた。

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まあ、クロック・パーミッションの形にするには手持ちのカードでは足りないが「否認」を1枚投入してみた。手持ちのカウンタースペルは否認1枚と魔力消沈1枚。それとクリーチャー呪文をカウンターして蛇トークンを出す神秘の蛇の劣化版が1枚だ。名前は失念。

記事にもあったが、クロック・パーミッションが結果を出したのは1998年のMoMA全盛で対抗呪文が相手のデッキにメチャメチャ刺さったからだと。確かにクロック・パーミッションはディープマジックを踏襲すれば小型クリーチャー高速召喚&カウンターデッキなので、俺以外にも考えた人はいるだろう。ただそれを可能にしたのはビジョンの「大クラゲ」というカードによるところが大きいと俺は思っている。

国内ベスト8くらいで止まったのは、俺が赤青で出た時は緑が流行ってクイリーオンレンジャーのせいで冬の宝珠がほぼ無効化されて決勝卓で破れたからだ。その時に弱点には気づいていて、緑のクリーチャーを全滅させる「Perish」をサイドボードに4枚投入したが、引けなかった。

このアイデア自体は森雅也がビッグブルーにタッチ黒で「Perish」を入れてホビージャパン誌に載ったので、そちらで知っている人のほうが多いだろう。アイデアを自分が出して有名になるのは他の人というのは大変に歯がゆいが、競争なので、参戦すると真似て真似られて取って取られてからは逸脱しにくい。自分が取るまいとしても取られるし、取られてそちらが有名になるなら自分が後から取ったようにも見て取られる。それが摂理なら取って勝つこともひとつの策ではあるので、誰のものかというのを発明品の特許のように守る術として、多くのプレヤーは輪を作って内輪でデッキを練り、出稽古に対しては慎重になったほうが勝つ。

あと最近ではエクセルで確率計算などをして公開しているが、エクセル自体は古いソフトでマジックザギャザリングよりも歴史がある。そうすると初期マジックはインタラプトやスタックと言ったコンピュータ用語を思わせる単語がルールに使われており、創始者のリチャード・ガーフィールドもまたコンピュータを使っていないはずはなく、またエクセルでなくともノートと電卓くらいで同じ計算をした人が居ないはずがないとも今では思っている。

そして、オーダーマインドなんかも実は切り口を変えるとクロック・パーミッションなのだ。

 

ただ、引き合せとして小型クリーチャーを先に展開して、相手のソーサリーを対抗呪文するプランニングは先に対抗呪文を引いて、後から小型クリーチャーを引いてくる危険性もはらんでおり、勝ち筋としては細いデッキになる。そして焼殺デッキに対しても、2マナのカウンターで2/2クリーチャを稲妻(またはショック)から守り続けることは困難で、弱点となる。

ただ、マジックの歴史というか強いコンボデッキはクリーチャーを展開して殴り切るより早くコンボを完成させて勝ってしまうのに対し、たった1枚の対抗呪文で勝ちプランを台無しにされるケースも有る。対抗呪文は手札破壊や除去と比べて、使うその瞬間を狙う必要があって、先に持っていても使えないし後から引いても無意味だけど、除去が対クリーチャ、対エンチャント、対アーティファクトなどと分けられているのに対してインスタントやソーサリーに至るまで1種類で全てに対処できる万能性を持っていることが利点となる。

まだまだ、考えるべきことはたくさんあるものだなと思ったところで今日の話はここまで。


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