俺はもともと山下達郎になりたかったわけではないが、竹内まりやが好きだった。
しかしまりやは達郎と結婚したし、そもそも自分とはお母さんと子供くらいの歳の差である。
そんなこともあったなぁとテレビでLe Coupleの「ひだまりのうた」を見ながら思い出したのである。ああ、ギターが弾けたら歌手と仲良くなれるのかもなと思ったものだ。
そんな俺はやがてJUDY AND MARYやHysteric Blueのファンを自称しながらEvery Little Thingの持田香織はギターの伊藤さんとどういう関係だろうと不思議になった。
音楽家と歌手の夫婦というパターンから、若い歌手とスタッフのお兄さん的な。
まあ、最近では音楽をしているということに特別の感情はない。初めて買ったレコードというと昭和のおじいさんたちはテレビのアイドルへの初恋みたいなことを意味するようだが、俺はなんかそんなライバルの多い戦い無理でしょと子供の頃からどこか諦め、売れないアイドルオタクみたいなところもちょっと影が差していた。
そして、LUNASEAのROSIERが歌うように「咲いていたのはRosy Heart」と男で男のレコードを買う奴はロージーハートつまり薔薇族のホモセクシャルではないかとさえ思われた。
しかしそれは安直に好きな女性アイドルを知られると周りから馬鹿にされていじめられそうで怖いからみたいなところもあったと思う。
それで最近ではギターが趣味ということで音楽と言っても即座に色恋だと思わないでほしいみたいな態度で来てるんだけど、初音ミクが好きとかいうよりは持田香織が好きで隠していた頃の方がまだマトモな青年だったのではないかと思って、演奏してみた。
まあ、自虐ネタからその自虐が作ったものではなく自分の未熟さへの攻撃性みたいなもので、下手だといじめられるのが怖くて誰にも見せないで練習してきたギターへの自己採点での攻撃性が自虐を生むのである。
見て、聴いて、笑ってくれ。
けど俺はお調子者なので褒めてもらった方が多分もっとやる。
GLAYが出来たら次いっくん、それから俺は何故かCGやってプログラマになって、10年働いてみてから路線を元に戻す。その間に覚えたことがほんの少し役立っているが、20代を棒に振ったことを考えると、もう10年寝て目が覚めてから43歳とされているが27歳くらいと思ってやるしかないみたいなポジティブ思考である。
BELOVEDで「もうどれくらい歩いてきたのか」「夢から覚めた」と歌ってみると、俺は20年間コンピュータ世界の中で夢を見ていただけのような気分にすらなる。
いっくんから見た持田は自分がギタリストとして食っていくための大事な新人歌手なのかも。
自身がバンドマンとして売れるのを諦めた男の新たな道としてJUDY AND MARYの恩田さんが選んだ道、つまりバンドのボーカルを若い女の子にして世界観を刷新する戦略を別のレコード会社が当て馬キャラとして描いた持田といっくん。それがELTとも読み取れる。
でもまあ、ギタリストは夢みたいなもので辞めても人間なんかの仕事で食えるとは思う。
その意味ではバンドがボーカルを若手歌手と替えて音楽を続ける選択をするのは食っていくためとかつまらない理由に転嫁されるべきではなくバンドの色よりギター弾いてることそれ自体が気持ちいいし、音作りが楽しい仕事とも言えるのだろう。
そういう意味では達郎とまりやも何とも打算に満ちたカップルだったような気がして、お見合いの時代と違ってその後はロマンチックラブの時代でしょと言われても、どこもかしこもそうというわけではなく戦略的な夫婦関係というのも戦国と違って芸術も芸能もそうよね。