ブルボンのルマンドをひと袋食っちまった

 ギターの早弾きの稽古の初めに、TAB譜を速さに合わせて読まねばならないというハードルがある。コード譜は読めるようになったが、TAB譜はゆっくりなら読めても演奏しながらは辛い。上達としては指は付いて行って音もパリッとちゃんと鳴るが、テンポとか足りないものは沢山ある。コードバックばかりやってきて、12年経ったが、ここからTAB譜もスラスラ読めて早弾きがモノになる頃には55歳とかになるんじゃないかと気が遠くなった。なぜなら45歳にもなる頃にはギターで何でも弾けてモテモテで結婚くらいチョロいだろうと32歳くらいで舐めていたからである。

 あとシャーペンで計算用紙に漫画を描き、サインペンでペン入れしてデジカメで撮ったらこれでウェブ漫画くらい作れそうだよなと思っているのだが、ギターを弾いて漫画を読むとか漫画を描いてヘビメタを聴くとかならバランス取れるかもだが、両方やってそれで快活なら良いのだが、フラストレーション、不満、ストレスなど鬱憤が溜まった時にその捌け口を何にするか考えておかないと、独り身で当たるものもなく壁や机を殴る羽目となった。

 殴っても仕方ないと仰向けに寝て、もう一度ギターを持つが、雑に弾いてみてもストレス解消にはならず、台所に行ってブルボンのルマンドをひと袋食った。思えばギタリストで太っている奴は多い。若い頃は痩せているのだが、売れて休みになってまた出てくると太っている。ただ、麻薬や不倫とかで失脚しなかったのは立ち回りの巧さかストレス耐性があるわけで、そのひとつとしてたらふく食って太るというのも手段かもしれないなと思いながらコーヒーを飲んでいた。

 何かを目指しているうちに、技能だけではなく見た目まで誰かにすっかりその通りになる、ということはあるが、しかしギターが弾けるようになっても太っちまうのはな。考えて、やけ食いを辞めてブログを書き散らすことにしたのだ。こうして活字にして誰が読むともしれないウェブにぶちまけることが俺のストレス解消法なのだ。

 同じような奴はたくさんいたが、皆辞めていった。エロ漫画を描いて晒したり、ブログではなく小説を書き出したり、なんか上手いこと言っているようにも見えるが、本質的に創作なんてのは上手いこと行ってないヤツの捌け口なのだろう。

 まあ、55歳まで完成しないとなると、それまでに別の行き方を見つけながら、少しづつ続けるしかない。最近のアマゾンもポチクリして届くのが翌日ではなく欲しまりが収まった忘れた頃なので、買い物がストレス発散になっていないとも思う。

 ギターの稽古も出来た頃には既に出来るようになったことより高い目標が出来ていて、そういや昔はこれやりたかったんだよなと憧れた曲を弾いて、食ってしまった歳のことを思う。見ているドラマが不満のたまる展開で次週におあずけされている、とかも関係ありそうだ。

 我慢強くあろうとしても、どこかで鬱憤は晴らされねばならず、綺麗に消化するなんてことが本当に出来るだろうか。テレビで公明党の浮島さんを見かけたのは少し前のことだが「バレリーナとしてトップに立ちたい」と創価学会池田大作に言うと「百万遍のお題目だ!」と言われ月日が経ち「本当に百万遍唱えましたが叶いません」「ならばもう百万遍だ!」と言われたというのが信者の間でどうせ叶わないという諦めとともに冷ややかな笑い話となっていたが、テレビでスーツ姿で国会に映っていると本当にやっちまいやがったかと思い出すのだ。

 55歳でメタル系早弾き完成として、コード譜やTAB譜ではなく普通の五線譜の楽譜とピアノいう選択肢もあるわけだが、今のギター教本はTAB譜と五線譜両表記なのでまず弾けるようになって読み比べて分かるようになる、みたいのが先かなとは思ってる。

 欲求不満が溜まるのは今までのほほんと過ごしてきた結果の自分より高いところに行かないと気が済まないという思いが不意に強くなったから。ここでキレてしまうと今までの積み重ねが台無しだとも思う。大した積み重ねでも無いかもしれない、もっと上のやつはゴロゴロいるというような気焦りはほとんどが年長者に向けられている。自分より若いものに負けるのは反対に嬉しいが、技能で負ける場合にのみそれはあり、評価としてけなされるのは煮え繰り返る。

 大丈夫、行こう、あとはホワイトロリータひと袋だ!


🄫1999-2023 id:karmen