年寄りは言う「あの頃は良かった」と。セピア色の写真を見て酔うように、俺もいつからか過去を懐かしみ、部屋には良かった頃を思い出せる品物を並べていた。
スーファミ版のストIIターボもそのひとつで、ストリートファイターIIからダッシュ、ターボ、スーパー、エックス、ゼロ、ゼロ2、ゼロ3、ストIII、ストIII2nd、ストIII3rdくらいまでしたが、ターボを部屋に飾ることでいくらか落ち着いていた。
そしてよぎるのは過去の辛い出来事であったが、部屋の隅の箱を開封して、座敷の間のスーファミに差し込み、29年ぶりにプレイした。そこは30周年まで待てよと思うかもだが、今日思い立ったのだ。
結局は波動拳と昇竜拳に飛び蹴りのジャンケンだと分かってから、その前提となるのは無敵に近いガードで、硬いガードで守り、バックジャンプで距離をとり、波動拳を打ち出し、飛び越した相手は見逃さず登り蹴り、着地足払い、正拳突き、昇竜拳などで適切に対空を入れる。
それだけで勝てるし、だからこそ夢中になった。「なんだ、これだけのゲームだったのだな」と思ったのはその後のコンピュータの発展や、自身もそのスタッフとなって仕事に従事したこの20年、ゲームばかりしていたそれまでの20年とは違い、色々なものの見方が身についていた。