どうしてKOFは98が至高なのかというコマンドの話

 もう20年以上前のことを今更に掘り返すのもどうかと思うが、まとまった話になるので。

 まずストリートファイターIIの攻略法で

 「ガイルでしゃがみガードで待ち、近く相手を中足払いで追い返し、飛んだらサマー」

 これがあった。誰でも思いつきそうだが、中二の俺が300円くらい使った自己流。それでどんどん進んで7キャラ倒し、四天王のひとり「バイソン」登場のアメリカラスベガスで台の周りで見ている人もボルテージも最高となった。バイソン、バルログあたりが音楽的にも盛り上がりよね。

 ところが、その当時でファミ通ゲーメストなどの低俗雑誌とは一線を画したマイコンBASICマガジンストII攻略は

 「波動拳を出して相手が飛んだら昇竜拳

 その昇竜拳が出せたら苦労しませんよねー、と思いながら読んだ記憶があるし、次月には

 「ダウンを奪って起き上がりにジャンプ強キックをかぶせて歩いて投げ」

 という投げハメが載った。今から考えると身も蓋もない話だ。その頃にゲーメストはというと、対戦ダイヤグラム春麗発勁百烈などで、台に集まったメンツでその話題で持ちきり。

 簡単に説明すると、発勁百烈というのは春麗の近距離強パンチを必殺技キャンセルして百烈キックを出すという単純な連続技で「連付」つまり自動連打コントローラで秒間15連打ほどあれば大パンチから小キックを押しっぱなしで連打するだけで出るのだが、それはアーケード筐体では難しく、ジャンプ強パンチから着地までの技の出ない間に小キックを3〜4連打して、大パンチからもう1〜2連打で百烈キックが出るという先行入力というプログラムの仕様の話となった。マイコンオタよりファミッ子ならではの仕様理解とコマンド技だった。

 そうして色々と勝ちまくりの俺であったが、KOF'96でコマンド技が出なくなり、さっぱり勝てなくなった。後にゲーメストで明かされるのだが、波動拳の下、斜め下、前、パンチの斜め下が2フレームつまり60分の2秒認識されないと必殺技が出ない。

 コマンドをカプコンの60フレームで極めた俺はバーチャ4のウルフで最速ジャイアントスイング楽勝の1フレームずつキッチリレバーを回す癖が手について、KOF'96の仕様に対応できなかった。それで子供のように「このゲーム技が出ないからつまらん!」とごんたを言った。周りの人にはゆっくりとレバーを回して「ちゃんと回したら出る」という人もいた。

 そのごんたは俺だけではなく、多くの意見としてKOF'97では龍虎乱舞コマンドの8方向レバーを電卓の5をニュートラルとして236で下、斜め前下、前とするオタ仕様で書くと2141236というコマンドであるとインストラクションカードというゲームの簡単な説明書が台に貼られているのが、216つまり下、斜め後ろ下、前の3コマンドで龍虎乱舞が出るというとんでもないものだった。それでも、それは小ジャンプ対空などの刹那の局面で3コマンドで超必殺技が自在に出せるという意味で新規プレイヤー受けは良く、KOF'97を名作と呼ぶ人もいる。

 それで、やっと出たのが説明書通り、1フレームずつ入力すれば出るというカプコン仕様になったKOF'98なのである。コマンドはコマンド通りで出る。俺にはこれが至高だった。だがストIIとはゲーム性が違いすぎて、ネオジオを買って練習したが、ずっと弱かった。それでも全国大会の寝屋川ABC代表なのだが、今考えると他の代表はもっと強く、弱かった。

 それから、インターネットの掲示板「2ちゃんねる」の時代が来る。

 相手はコテハンでコマンドコントローラーというデジタルでコマンドをマクロ入力できる装置を持ったストZERO3ご意見番である志郎氏であった。俺は家でレバーでドリームキャスト

 志郎氏は色々のコマンドをコマコン準拠でネットに発表していた。そして、ナッシュのステップダブルサマーという難しいコマンドを「手では絶対に出来ない」と掲示板に書き込んだ。

 対して俺は家でドリキャスで実験して「手でも出る」と書き込んだ。

 「ある人は出ないといい、ある人は出るといった」と騒ぎになった。

 結局、あの後に東京から何人も関西に遠征に来て、知っている人は知っているのだが、それからネット越しではなく電車とクルマや携帯電話でコミュニケーションを取るようになり、ネットの話は「ある人は出ないといい、ある人は出るといった」で止まったままである。

 しかし、俺がいると全て解決かというと、ハイパーストIIのゲーセン版とPS2版でガイルのダブルサマーの省略コマンドが違ってゲーセンで出来るコンボがPS2ではどんなコマンドでも出来ないという話が目下検証中なのであるが、俺はスーファミストIIターボもサターンのストIIXも持っているのにPS2のハイパーなど買う金はない!という派閥なのだが、PS2のハイパーから入ったストII若者勢に「ガイルのめくり小足ダブルサマーってどうやるんすか?」と尋ねられアーケードのコマンドを試したらPS2では出ず、またしても嘘つき疑惑をかけられるのだ。

 まあ、ゲーセン版のストIIXのガイルは1溜め23219キックでダブルサマーと書いてあるが、2溜め648キックでもダブルサマー成立する仕様なので、めくって1溜めが無くなるはずが実は2溜めで良く、また小足キャンセルも普通はかからないのだが連キャン出際キャンセルという特殊な仕様の穴で普通はそれバグと見做され、PS2では無くなっているようである。

 そういう意味で今でも俺はKOF'98は至高だったと思う。今はゲームをプログラムの穴を突いたバランス崩壊技で勝つのでは無く、仕様通りに遊んでコンピュータや人間と駆け引きを楽しむものとしているが、それが出来るのはコンピュータにゲームで負けられる変わった人間なのだろう。

 かつては対戦ゲームの中に無限の宇宙の夢を見たが、有限の選択肢の掛け合わせが三すくみになっている程度のことで、無限の展開があるわけではないとどこか達観している。

 そして格闘ゲームはほどほどに、ボールペン回しやギターの稽古をしている。芸になることとならないことではあるが、上手い下手をコンピュータのコマンドで必殺技の出るなしで競い合うのはどうよ、と今更ながらに言えるのは、人並みに他の特技が出来たからであろう。


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