今日の小室哲哉論。キーボードから結果至上主義に。

 小室哲哉が表紙のキーボードマガジンを読み込んでいた。

 そうすると、V系バンドのキーボードのコラムで、ロングトーンを1ノートほどわざとリズムをずらして打ち込むとギタリストが頑張っている感じが出るという冗談が載っていた。

 これはデジタル音楽家の冗談であるべきだと俺は考える。確かに世の中の音楽はほとんどが既にmp3で、それ以前にはCDやMDにカセットテープがあり、日本が技術立国をしていた時代に技師の位が政治家より低い頃に静かな革命として、まずオーディオの普及で技師が音楽家を食ったのだ。

 「音楽なんてタダのものでレコード会社はボロ儲け、だから機械でコピーしてやろう」こういう論理でオーディオは普及してレンタルショップが乱立した。

 だが、日経をよく読むと、レコード会社の最大手であるエイベックスでも日本に数ある会社の中では比較的に小さく、楽器メーカーのヤマハもエンジンの発動機と分社している。

 テレビッ子をしていると「ああミヤネ屋で小室哲哉叩かれとるな」と思うのだが、松浦が叩かれたことはないし、かといって安倍や岸田を叩いて世の中何か変わるとも思えない。

 どこを叩けばと思うのだが、視聴者が結果至上主義的に名盤を買うものだからそれはキャッシュフロー的にお客さんなわけで叩けない。飲食店の常連客に文句があるときに料理人がちょっとまずいものを食わせるということは出来るので、テレビやラジオのDJがそうしたとしてもレコード盤というのは出来上がったものなので、そこに最高の音楽を詰めてしまうと、もう買った人はただそれを聞いて酔っ払ってしまっているのだ。

 この仕組みを打破するのには30年くらいかかっている。良いものは売らずにデタラメな音楽をかけて、購買者が世代交代するまで耐え忍んだのだろう。決して、音楽家のレベルが下がってきたわけではないと俺は見ている。安く売ってもらえなくなったのだ。

 では何故小室哲哉は大人気になり、そしてのちに叩かれたか。音楽業界の空気を読まず、デジタル音楽の技師として、デジタルの良い音楽をお客様目線で丁寧に作り、ひそかに進んでいた革命とは裏腹な方向性の仕事をしていたからだろう。


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