ロボットアニメとテナーサックス

 ふと昔見たロボットアニメのテーマ曲が聞きたくなった。

 いや、正確には少し前から常々聴きたいと思っていた。けどアマゾンの残高がなくてCDを買うのにチャージするのが面倒で、ネットで聴けそうだが音質やら著作権の問題で出来たらちゃんとレコード欲しいなぁと思って聴くのをためらっていた。

 だいたい、音楽家として楽器もパソコンもあるのにCDを買うのは如何なものかとも考えた。そして部屋には他のCDがたくさんあって、何故ほとんど思い出せるその曲が聴きたくなるのかも自分に問いかけていた。

 まあ、アマゾンの残高がなく銀行もコンビニも行くのが煩わしいだけなのだが、今日ついにその曲をロボットの映像付きで聴けた。「大層なこと言って子供の時に見たロボットが好きなだけなんでしょ」と言われそうだが、主に昔のシンセサイザのチャラい音が曲中に何度も使われていて「うんうん、こうだよな、イメージ通りだ」と思って聴く。

 そして、歌が終わって伴奏も静かになっていくところに、突然ブラスの音がするのである。「アルトサックスかな」「テナーサックスじゃない?」「サックスの音をキーボードで弾いているにしては揺らぎがあるように聞こえる」何かが分かった気がした。

 たかだかロボットアニメとはいえ、映画化されたので、作曲者の名前が同じでもバックバンドが映画の製作費に比例して大所帯になっていた可能性もある。

 クラシックの作曲家になると幾つもの楽器を1時間分ほど譜面にしたり出来るみたいだが、俺らはせいぜい5分。それも何度も聞き直して、既存のフレーズを使ったりもして、演奏も部分的にして取り込んで貼っつけて仕上げは細工する。

 もしかしたら、聴きたかったのは最後のテナーサックスで、そこがどうしても思い出せずにまた聴きたいと思うのは曲の伏線として何度もシンセで同じモチーフが使われて、しかし子供の頃のファミコンピコピコ時代にはサックスの音を正確にメモリ出来なかったのだろうなと。

 そうすると、何故にテクノからジャズにハマり出すのかとかも、謎が解けた気がする。だいたいナルシストほどジャズに酔うというジンクスがあるらしいが、子供ながらに何度も聴いた音楽がジャズに変化する心地よさを1曲にまとめて聴かされたのだろうな。

 小学校の5〜6年くらいから44歳まで、時を超えて同じ音楽を聴き比べる。好きなバンドとかアイドルにメロメロになってみる方が普通だからバンド辞めて顔写真でレコード選んでみようとか、ギター弾こうとかしてみたけど、そうした体験以上に楽器も音楽も色々あるし、色々と試されて良くなることがほぼほぼ分かっていたものを子供時代に聴いて育ったわけで。

 谷底とまでは言わないが、崖から落ちて這いずり上がったところに今があるけど、子供の時もなかなかに高いポジションで音楽と付き合っていたのだなと思う。易しく言うと「客」


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