満腹感、栄養度、幸福感

 俺は子供時代太っていた。そして幸福だったと思う。

 高校に上がる頃にはガリガリに痩せていた。ウチで出る食事の量はあまり変わらず、身長が高くなり、スポーツ選手の子供がいる家庭は食費がかさむというが、同じくカレーライスで弁当には卵焼きや鶏肉も入っていたので、母親の出している食事の量がとりわけダメなわけでも無いが、身長が180センチを超えていたのでその分痩せたのだと思う。

 それは20代の終わりごろまで続いた。独り暮らしで「お金がないならパスタを作ればいい」とゲーム仲間で先に独り暮らしを経験しているバースターから教わった。確かに小麦が原料のパスタは市販の束でもコメより安い。同じ炭水化物だからということは理解できた。しかし、そこまで貧しかったわけでも無い。給料からいくらくらい食費に使えばよいかというバランス感覚が欠如していたのだ。

 ケチったり、おごったり、時には良いものを食ったり、滅茶滅茶だった。そんな俺は実家に戻り入院する頃にはだいぶ太っていた。あの頃は外食ばかりで昼飯は毎日マクドダブルチーズバーガーだった。

 この半年ほど、マクドの値上げもあってダブチが値上がり据え置きのビッグマックのほうが割得に思えてそうしていたが、パンやチーズやソースの違いなどで体調に変化が出た。またダブチに戻した。この数年、昼は月水金とマクドである。

 今は身長182センチで79キロ。80キロはヤバいと思って痩せて76キロくらいまで来たときに看護婦さんのリップサービスで「もう充分に理想的な体重よ?」と言われたのを真に受けて、そこから3キロほど戻った。

 土曜日にスーパーに買い出しに行って、3500円ほど使った。昨日の夕食はそれでも1000円の仕出し弁当を頼んだのだが、今日は朝はパン、昼はどん兵衛天ぷらそばとレンジごはんにちりめん山椒を乗せて食った。ちりめん山椒はパックで198円で買った日にも少し食って食べきれるか心配だったが、夕食前にピザポテトを食ってそこまで腹が減っていないので夕食も昼と同じようにレンジごはんにちりめん山椒を乗せて食った。1パックを3食分とした。

 小学校で主食はでんぷん質と習ったが、独り暮らしの時にバーテンのオッサンに「肉食って踊っているだけの部族の爺さんでも生きているんやぞ」と笑われた。俺はその飲み屋で腹が減った時にピザやカレーライスを頼んだが、その代金でオッサンはスーパーの弁当を買い、飲みに連れて行ってもらった店では6Pチーズひとかけとポールウインナー1本にグラスワインが出た。「これ、分かるか?」と聞かれた。

 つまりはピザというのが俺の答えで、ピザは小麦粉の生地がベースだが、チーズとソーセージがトッピングされている。つまり高めのバーで何を食ったかというとチーズひとかけとソーセージ1本でワインを飲んだだけだというのだ。

 俺はひとり暮らしの時にカップラーメンのしょうゆ味やレトルトカレーひと袋でご飯を1合くらい食っていた。満福にはなったが、何か物足りなく、結局鬱になった。

 しかし今日は晩飯をレンジごはん1パックでちりめん山椒をパックの3分の1ほどかけて、ポールウインナーも1本食い、おやつはポテチではなくピザポテトだった。粉ソースと粉チーズがかかっていて、20円ほどポテチより高いのだ。

 満福とまでは言わないが、食い終わると幸福感のようなものがあった。それでも、体型的にはもうちょっと筋トレか減量が必要かなとも思っている。無理のない範囲でだ。

 俺は子供時代に太っていた。そして幸福だったと思う。いちどはその原因を気が済むまでファミコンで遊べたからだと考え、ゲーム機を新しいものに買い替え続けてカセットのコレクターになったが、主因はメシの栄養価にあったのだと昨今は考えを改めた。

 うまいもんを食ってぼーっとテレビを見る。また気が向いたらゲームの記事も書く。


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