坂本龍一さんの訃報を受けて

 中学の同級生Y君から借りたCDでYMOを初めて知った。

 聴いた中には聴いたことのあるものがあったかもしれない。

 それからプログラムの勉強中に毎日読んでいた開発日記に「教授を聞きなさい」とあったのが坂本龍一ということを知って中古のCDショップで1枚買った気がする。

 この中のどれがどの曲か知らずにただ流して聴いていたのだが、23歳ごろかなデートしていた女性に「どれが戦場のメリークリスマスか分かる?」とウォークマンのヘッドホンを渡して「この~たららららんたらたらたらたららららん」「たん!たらた」で声が高く歩道橋を行きかう人々全部に振り向かれたのを覚えている。

 その彼女は上京するときに別れたんだけど、それからもウラBTTBと青い映画音楽のベスト盤は買った。けど晩年の作品は「何だかなー」と買わなかった。

 30代でギターとDTMを始めたので、何やかやで先生が載っている出版物には触れた。いちど同じモデルのMOOGを買おうかと悩むほどには憧れていた。

 でもどっかで、後を追うのではなく自分も何かの仕事でそれくらいの大御所になりたいくらいに思うと、いつの間にか忘れていて訃報を受けてあらためて自分の人生と先生の作品の関りを考えると、ちょっと音楽が好きですれ違ったくらいの関係かなと思う。

 奇しくも音楽を続けようか、別の道を探そうかと悩んでいた時だったので、自分がその空いた穴をどうにかできるような存在ではないけれど、あきらめないで続けようと思いました。

 怪しい霊媒師みたいに思われるかもだけど、幻聴を患う身としての体験を書いておくと、テレビで訃報があるとひとり考え事をした時に先に霊界に旅立たれた諸先輩から語り掛けるように声が聞こえてくることがあって。そうすると先生は相槌を打ってくれるような存在として、今も自分の話し相手のように傍にいるように思える。

 だからご冥福をお祈りするって締めではなくこれからも一緒に頑張ろうって。


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