シャケ弁戦争が始まっているようです

 ロシアとウクライナの戦争が始まる前に大阪で友達と回転寿司を食いながら

「なあ、戦争ってなんで起こるんや?もう平和な世の中とちゃうんか?」

 と聞かれて、そう聞かれたのは俺が中学の時にゲームボーイ大戦略を買うくらい戦争に興味のある人間で、その頃から付き合いのある同級生は外国を回って国を守っていて、対してその時一緒にメシを食っていた友達は地方から大阪に来ていて、のどかなところで戦争を知らないと言いたいが、俺も読書とか映像とかゲームでしか知らず、それでいて孫氏の兵法やら大戦略SLGエースコンバット戦国無双とかで、確かエースコンバット6が自衛隊監修になったとか、そんな話をしていた時だったと記憶している。

 「戦争の原因を探って回避したり勝ったりすることが俺は歴史の本質ではないかと思っていて、何故なら歴史に残らない市民などというのは無数にいるが歴史の転換点は大抵が戦争で、だいたい戦国無双では伊達政宗のお爺ちゃん晴宗だったかな、北方の米どころでゲームスタートして農業政策を取っていると南から北条とか武田とかそこらへんがコメ目当てに攻めて来て負けるんや」

 他にはエイジオブエンパイアのリンゴの木の話なども俺が戦争について聞かれたら定番だったりする。たぶんブログにも何度か書いていると思うが、簡単に言うと原始人がリンゴの木から果実を取って来て食っているうちに木を切って家を建てて文明が起こるが、木材や石材を方々から取って来て砦が立つ頃にはリンゴの木は探さないといけないくらい少なくなり、やがてリンゴを探していると遠方にも文明を持った他の原始人から始まった部隊と出会い衝突する、みたいな話だ。

 それで俺は週3マクドなのだが、回転ずしを食っていた頃にはまだそうでも無かった気がする。友人は大阪のうまい店を色々知っているが、俺がその友人と食いに行くのはチェーン店などの大型店を選んだ。小さいうまい店が流行ると迷惑がかかることがあるからだ。

 週3マクドの合間の日はカップラーメンがほとんどだったが、経済的に安定してきて俺も食費を一部負担してスーパーの弁当を昼飯にするようになった。だいたいスーパーの弁当は売れ残って以前は半額になったものを買ってきてレンジで温めて夕食にしていて、その飯はもみないものだったが、作り立ての昼間に買うとなかなかうまいのだ。

 だいたい、俺がアジフライ弁当で親父がシャケ弁でしばらく回っていたのだが、マクドにアジフライで肉や揚げ物のローテーションを組むと独り暮らしの時のように胃腸がダウンしてきて、その時に親父の真似をして食ったシャケ弁が異様にうまかった。

 それからシャケ弁ふたつでしばらく来ていると、弁当が半額ではなく昼間に売れるので店もサービスが良くなり脂の乗ったうまいシャケが乗っていることが増えた。

 しかし、段々と行ってもシャケ弁が先に買われて手に入らないことが増え、何とか買えた時にはまたパサパサのもみないシャケになっていた。

 それでもシャケ弁は先に買われ続け、ついにはアジフライも無くなり、今日にいたっては白身魚のフライとチキンカツまで368円商品は完売であった。

 代わりにどうしたかと書くと、それが遠方のゲーム仲間や文章好きの読者ではなく近所にいるかもしれない誰かに読まれてまた俺の飯が狙われるということも起り得るというか、Googleマップガイドをしていた時はそれくらいの知恵は回って流行っていないあんまり行かない店を宣伝していたのだが、シャケ弁が狙われたのはネットのせいではなく俺の生活リズムや行動が近隣からスパイされているのだとは思う。

 「戦争」というほど大げさでは無いかもだけど、どんな人が買うんだろう、おばちゃん達以外にも犯人みたいなやつがいるかもしれないと思って早めに行くと、小学校低学年くらいに見える子がカゴも持たずに恐る恐るシャケ弁を手に取っていたり、お前スーパーちごてラーメン屋やろと先入観で見てしまう作業着に茶髪のチャラい系建設作業員みたいなお兄ちゃんが弁当コーナーをやはりカゴも持たずに見ていたり、親父の話では花見のシーズンとか団体さんで人数分の弁当をカゴにがさっと持っていく人とかもいたらしい。

 食い物が目当ての場所で買えないとなると、エイジオブエンパイアの原始人がリンゴの木を探すように、段々と俺の移動範囲が広がり、出くわす人も増えてゆく。

 その点、マクドナルドは多少客が増えようとさばききれるパンとポテトの量である。ギョーザの王将なども強いと思うが、俺が京都東寺のNTTコムウェアに居た頃は、入館証をカバンに入れて飲んではいけないと指導された日に近所の王将に行くとNTTの職員だけでギョーザが売り切れで、直属の上司に「なんか食えるもんある?」と聞かれ「シューマイ食いましょ。シューマイ!2人前!」と言うと出て来て「からし醤油付けて食うんすよ」「うまいうまい。お前と歩いてたらどこでも旨い飯当たるから気に入ってんねん」という話だったが、入館証を持ち出して外で飲んだことは摘発された。

 考えれば、光ファイバーの普及工事のあとのNTTの儲かりぶりと、そこに集められた大半の人が仕事が無いから形ばかりSEとして集められたインフラ系の作業の人だったとして、あれも戦争ではなく箱物行政の代わりとなるインフラ行政だったのだと思う。

 スーパーの魚売り場の兄ちゃんかおっちゃんかマスクで分からないが、聞こえるかどうかくらいの声で「いまシャケは危ない」と言っていた。旬とか寄生虫の意味での危ないでは多分無くて、スーパー内での取り合いの意味でシャケ弁にレッドカードが出ているということなのだろうなと思う。今日ひとつも無かったのは12時前で、もしかしたらスーパー側も対策して既に店頭に368円の価格帯を置かないようにしたのかもしれない。

 まあ、日常的な他愛のない商売の話ではあるが、エイジオブエンパイアもリンゴの木1本で戦争が始まるわけでもないのだが、たくさん取られると本当に血が流れるので1本でも「やられたか」とは感じている次第であります。


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