悪役

　風呂場で鏡を見たら白髪が混ざっていました。

　若い頃は鏡を見るのが趣味のひとつでしたが、段々と風呂上りくらいしか鏡を見なくなり写真でも撮ると「ああ、俺はこんな顔か」と思うほどであります。自撮りを何度もしていると、経年によって顔は変化しているし、鏡で言うと見る角度が人それぞれあると思うのですが、ちょっと斜めから撮ったり、色々やった結果「何もしない」になりました。

　というか、ネットに顔写真をアップしだしてから、ＳＮＳでのタダ読みマンガ等で「このマンガで読者が一番嫌いになりそうな悪役は誰だろう」と思った時に、その髪型やら表情が自分に似せられているように思い始めたんですよね。まあ被害妄想とも言えますが、そんなマンガが無料でばら撒かれて、いい気分はしないものです。

　それでも俺はＳＮＳを無課金で利用しているので、まあ仕打ちとも捉えられます。悪役でも役があるだけコミュニケーションというか、対話相手としては無数の攻撃があって、そして話の輪に入れない方から時々ＤＭ（ダイレクトメッセージ＝直接意見）をもらうのですが、蓋を開けるとＤＭのフリして俺とやり取りした中に失言があると公開して晒しものにしようとする罠であったり、個人情報やお金が目当ての新手のやり口の通例に非常に似ていたりするわけです。詐欺にかかる人も騙されてやるではなく巧妙ゆえにかかるのだろうな、そして孤独でＳＮＳで誰かと話したいと思うから付け込まれるのだろうなと思うわけです。

　ＮＨＫの朝ドラ古いですけど「おしん」のおしんちゃんをいじめる役の人がオフでつまり仕事以外の自由時間で外出すると街ゆく人から睨まれたという話が思いだされます。図らずとも、マンガでそういう風にされてしまい、そしてそうなる程度には誰かから恨みを買うとか、ネットに個人情報と共に顔写真を乗っけるリスクはそこにある。

　そのマンガの悪役の話はそれ以上では無いです。マンガも出回ったばかりで、誰が読んでいるのか俺は分からないし、俺のところに俺が悪役のマンガが届いて、想像上で「この漫画がばらまかれたら素直な人が見て俺は悪役だろうなー」と思うと、まあ通り魔に会うほどの事でも無いとは思うけど、気味の悪いものです。

　もうちょっと話の後味が良くなるようなオチがあると良いのですが。仕事で稼いで羽振り良く飲んでいる時に寄ってきた人は全員いなくなりました。俺がブログというのを続けていて、ふとしたことでイニシャルなどで登場人物と化した人の事も考えると、まあ俺の方にも過去に配慮に欠ける落ち度があったことを認めないといけませんね。

　けど、謝らない。もう十分すぎるほど悪者にして腹いせした後なんじゃないですか。