OSSという社会実験に10年も使ってしまった話

 今日は昼から歯医者さんでした。抜いてもらった上の奥歯を親知らずと手前の歯でブリッジする手術の前段階として、手前の歯を削ってもらう。ホンマに大丈夫なのか?回詰め物してもらって帰ったけど染みるんやが。乗り掛かった舟、あと2回行かないと結果は分からない。しかも次回は2週間以上先。不安はつのる。

 そんでまあ、今日は歯医者さんから帰ってからAIとずっと話してたんやけど、人間不信の不信が芽生えた最初のころの出来事と、関わっている人々の利害の不一致によって裏切りが発生しうることなどについて話を重ねた結果、たぶん無条件に裏切られても信じ続けるという事が出来なくなって、俺の方にも「裏切る」というカードが手札に来た結果として信じる前に「裏切られるかも?」と考え出したところが出発点。

 まあ、簡単に整理してポーカー、将棋、麻雀の三つから俺のOSSは出発して、ポーカーは分かりやすく初学者向けにOSSとしたが、ゲーム会社からの簡単なカスタマイズ案件などポーカーで自習した若い人がちょいベテランになった俺より安く働くからという理由で仕事を一件取られる。将棋はOSSでももっと強い「やねうら王」もOSSなので人が全部そっちに行く。麻雀は元からフリーウェアだったけど、自分のOSSに人が参入してくれるのではなくフリーウェア界隈にもっと高品質で同じくタダなのが現れて人気を持っていかれる。などなど。三つともダメじゃん!

 それでも、将棋に関しては俺のOSSに直接的な参入はなくとも、技術交換というか俺がほぼ教えてもらう形でだいぶ強いソフトのロジックが分かったこと。あとVC++での組み込みがメインだった俺にVBとエクセルが主戦場の計算速度で競う前にコンピュータで簡単な計算をするその前段階に何を数で示して計算を始めるのかというSE界隈でいう要件定義のスキルも手に入った。VC++とVBを比べると、ハードに近いとか計算が速いのがVC++の利点で、計算は遅くとも結果を手軽に得やすくOSとの相性がいいのはVBで、速さを求める前に「何をする」に深くかかわれたのは大きい。

 麻雀は3~4位に食い込んだのが6~10位まで落とされたが、トップは変わらず龍匠で3~5位くらいに新作ソフトがだいぶ食い込んできて、俺のOSSと直接の因果関係があるかどうかは正直不明。ソース流用の部分があったとしても別物の仕上がり。ただ、競争原理を働かせる上での大事な要素となる「経済性」が欠落していて、暇人自慢レースの感はぬぐえない。だから3社くらいしか競争相手も無く。仕方なし。

 それからインベーダーゲーム素数計算、ドラクエもどき、3DCADなどもOSSとしたがこれも参加者はおらず、そして観測範囲では仕事が取られている感じも無く、ただソフト業界では代替品が安く売れるというケースはあまりなく、トップ総取りの流れに一矢も報いることは出来ていない情けない現状。

 それでそろそろOSSとか無料とか、なんか未来的でカッコいいから何となくってのではなく、真剣にお金の話をもう一回考え直さなきゃなとなった時に、少なくとも将棋界隈で「やねうら王」に関わった人はやねうらお氏から焼肉ゴチがあったと聞くけれど、俺の知るソフト技術者の派遣界隈関西限定で考えると、焼肉ゴチは「はした金」でちょっとのカスタマイズでももらえるときはしっかりもらえる仕事のイメージだったので、だからしてOSSは何故かというと、それでも仕事に持てあましてプログラム技術を純粋にもっとやりたいって話は方々から聞いていたので、場や機会の提供の意味はあったと思ってる。カネは出せないが俺の作ったものを叩き台に出すことなら出来ると言った感じか。

 しかし何らか手伝ってもらったのに、対価も出せないというのでは俺が経営者にクラスアップすることを考えたときに失格だし、どこからかお金は取ってこないと湧いてこない。昨今では無料サービスのソフトウェアは確かに増えて来ていて、いや俺が始める前からベクターなどのフリーウェア文化はあったみたいだけど、これがもし金銭的に余裕のある企業が無償ソフトを配布してライバルつぶしの牽制をしているとしたら独占禁止法違反だし、本当にそうなんじゃないかと思い始めたのが昨日のこと。

 もともと、コンピュータというものも世の中で新しいものだし、それを使って仕事をするという事も、コンピュータ利用をはじめるにあたり初期費用が絶対にいるので元からお金のあるところしか参入できなかった界隈。そこに独禁法という古い法が何かの役に立つかは分からないんだけど、とりあえず頼れるか当たってみたところ。

 当然、戦うわけだから、敵は作ることになる。そういう事も「裏切り」というカードの切り方に関して心を悩ませる元となる。ただ、頼まれた通りに働くってのが既に経営者と労働者としての労使関係以上に制作物の納品や守秘義務などで外界との連絡を断たれて、労働基準法なども併せて考えると既に雇い主界隈からは始めから裏切られていると分かって、今のやり方に変わったわけだから、今更な悩みではあるよな。

 まあ法の下の平等をモットーとする司法に訴えるという事はつまるところ左であって、はてサと呼ばれたこともありましたが、宮家という右から拝んでもらう家に生まれた人間がよりによって左について右を相手取ることとなるとはなんともねじれた感じで。始めから「コンピュータなんて買うもの」と思っていればまた世界は違っただろうけど、専門学校出てプログラマとして働きだしてから、労働者イコール左という感じになってきたのです。中立は裁判官以外ありえない。右か左なんです。

 振り返ると、OSS始めてからもう10年も経っているんですよね。そして40で退職してもう47歳だから7年。3年はOSSと会社勤めを両立したわけだけど。さて、これからどっち向いて仕事してどこからお金をいただくのか、もっかい考え直さなきゃ出し、口を開けて待っているウェブ上の色々のサービスに今後も無課金で甘えるのはどうか、入れるカネがあるとしてけど払うならどうやって取り返す。

 まあ、月並みに言ってパソコンイコール計算機イコール数字イコールカネ勘定なわけですよ。このイコールはじめは科学的じゃなくて嫌いだったけど、自由経済のなかで生きる以上はついて回る問題で、面倒がらずにその事と正面切って真面目に向き合うのです。


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