ウェブ2.0という貧乏性に今も支配されている

 俺のブログ生活は「はてな」の利用に必要な2000円を銀行から振り込んで、活動して2000ポイント貯めて銀行に戻すところから始まっている。それ以前にはドリームネットというプロバイダの無料サーバーに日記をアップしていた。

 んで「はてな」のポイントは何に使うのかというとウェブ2.0である。俺は断片的な日記を書いていてライターに憧れており、ネット上には切込隊長、ファイナルベント、中川淳一郎などのいわゆるネット著名人がいた。近くの本屋の啓林堂に京極夏彦が並んでいたのと同じ話で、遠方の本屋までくまなく足を運んで売れているか確かめたわけではなく「ベストヒット」みたいな文言を真に受けた、バカなウェブ探索だった。

 自宅の自室にいながら遠方と電線でつないで通信をするという意味では使い方としては何ら間違っていないのだが、世界中とつながっていると言っても若者が多く、FAXもまだ無いというような老先生に中川淳一郎が取材に行ったという話を面白がって読んでいたが、そんな老人は探そうと思えば俺んちの近所にも無数にいたはずで、部屋にいながらサービスを利用して世界の事を語ろう知ろうという姿勢がマズいのだが、だがそうではなくこのパソコンなる機械をどう使うという問題もコンピュータ専門学校卒として同時に抱えていたと思う。

 それで、この頃に2000円の投資が2000ポイントとなって実質無料になり、その後もグーグル社と契約して、自宅にいながらお金を稼げる夢の内職として毎日書いているのだが、冷静になると電気代や通信費にそのうえ生活費まで計上すると主収入は厚生年金で何も買わない生活でもパソコンとテレビで趣味も娯楽も満足しているということになる。映画を見て感想をネットに書き込んでいる人を見ると「あー、まー面白いんだろうけど映画館に行って1200円払うほどの用事では無いかな」とか思ってミステリと云う勿れの上映シーズンが過ぎたことを後の今になって少し後悔していたり、そんな生活。まあ映画もエンタメですからね。音楽も自分でギターの弾き語り動画をアップしながら、他の人の弾き語りで最新アーティスト曲もCDは買わずに誰かのカバー演奏で聴くようになっているんですよね。これ多分ユーチューバーのデフォじゃないかと思うんですけど、贅沢を言うとそのアーティストの声でレコードの伴奏で聴きたい。

 ともすると、このブログのような活字が情報だと思ってるけど、光ファイバを使えばCD音質で送受信することも出来るのに、誰かの「自分がなりたい」という夢のようなカバーという泥棒の片棒をかつぐような、そういうもので済ましていると、まあ毎週のNHKの「のど自慢」が楽しい楽しい。昔からCD買うよりラジオで済ませたらタダで済むぞみたいな、俺が中高で爺さんからもらった小遣いで何か買うたびに小遣いの無い同級生がどうやってそれを消化していたかということを思い出しながら生きる貧乏。

 それによって近所の書店のCDコーナーも縮小してやがてなくなり、その間にも音楽雑誌は多少購読していて、そこにYOASOBIがキャッチアップされたときは「お、載ったか」と思って書店で手に取ろうとすると女子高生が数人立って見ながら「サイテー」と言って、その理由は今も分からないんだけど「欲しいけどお金が無く立ち読みしたいのにオッサンが買ってしまうと無くなるから」とか「オッサンなのにそういう若者雑誌を取って若作りして私たちの好きなものを詮索している」みたいなことかなと。

 サイテーと言われても気にせず買っても良かったかなとこれも過ぎ去って思うんだけど、あの頃(GIGSの表紙がYOASOBIになった頃)には俺らウェブメディアは雑誌の表紙レベルの新刊情報に追われるくらいの立ち位置には来ていたと思うんだよね。

 けど、そうなったらなったで「えっ?俺らもうそんなことにされてんの?」という感じでしかなく、ライターとしては雑誌より面白いものが書けているとは思っていなくて、それからウェブライタが本を出してそれが売れて、だんだんと旧来メディアに対して浸透してゆくんだけど、総じてオタク、サブカル的であったと思うんです。

 結局オタクってのは家にいて新しいメディアを買って娯楽に興じているわけで、そしてそれに憧れながら批評も併せて読むので批評家にはなっても、肝心かなめのコンテンツ産業それそのものを購買者として支えることしか出来ないのが通例。

 まあそんでも、流行のアンテナくらいの機能は果たしたかも知れんなと自分を許しておく。はてなに2000円入れた過去を思い出すと、Xのプレミアム会員になってインプレ稼ぎしている人を非難する筋は全くもって無いわけだが、ウェブ2.0が何で破壊されたかというとアフィリエイトの持ち込みだったかもしれんよなとは思うんだ。

 全くの無駄趣味だからそこに理想があったわけで、旧来的な資本主義の「お金」の問題がウェブに持ち込まれそれでつまらなくなって辞めた人も多かったのではないかと。


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