ギター・サーカス

 最近めっきり書けなくなっているんです。いや毎日書いてるじゃねぇか、と思われるかもしれませんし、実際文字数としてはカリカリ打ち込んでいるのですが。

 何というか、過去の文筆に対して「純文学の読み過ぎ」という指摘をもらったことがあるように、形式論理学以前の人間の葛藤をああでもないこうでもないと描けた時期があるんですよ。けどまあ、言ってしまったように、形式論理学が西洋で発明されて、日本にもどういう経路か、とりあえず蘭学としてオランダ経由でやってきたわけです。

 それでも俺が高校の時はまだ戦前から戦後くらいまでの文学と、それに至るまでの古典や漢文で国語教育としてきたわけです。まあ最近の高校生は論理国語とかいう授業があるらしいですが。そうです、学校教育はそれはそれで、福沢諭吉の学問ノススメがあり実学を学ぶべき世の中なんです。

 けどまあ、間接的であれ、読まれて面白いという人がいて売文業でもお金になるなら役に立っていることを鑑みると、今は自分の作風を崩して実験の時期だと思います。

 作風って偉そうに、まだ大して売れてねぇじゃねぇか!仰る通り。そうなんです。そう、確かに32人の読者がいて、カプコン社の格闘ゲームに関する過去ログが読まれているのですが、最近までギターを趣味としており、商店街の通りまで音が響いていたものがタダで聴けるからとかそれが賑わいになってモノが売れるとか、利用されて俺は儲からねぇじゃねぇかと思ってたけど、それでも囃子になっているだけ迫害を受けるよりは良かったわけです。

 分かるんです。歌しか興味の無かった人が、ギターのサウンドに乗せることで、ただの歌が心地よい音楽になる事は分かっていただけて、いっときもてはやされたのですが、練習して出来るようになった持ち歌に人が飽きて、そして巷で売られている数々のレコードとかネットで200円くらいでDL出来る曲、そしてそれは端末で簡単にコピーできて、そうした音楽が如何に心地よいかということが伝わって来たんです。

 まあその中で生演奏の意味は何だろうと自問してみると、サーカスだと思うんです。オーケストラとかの多重奏でもひとりひとりの責任は重大ですが、それでも同じパートを幾つもの楽器で重ねて音量を出しているので、こんなこと言っちゃ何だけどひとりくらいちょっとおかしくてもという責任の分散があると思うんです。いやそれでもプロはひとりひとり間違いないとは思いますが。

 けどまあ、エレキギターってひとつのギターの音量をアンプでぶち上げるわけで、指先ひとつでコンサートホール中に響くわけですよ。だから、ロックバンドの生演奏を聴きに行くのはそのライブがエレキギターのサーカスみたいなものだと思います。

 んで、俺がやっているのって宅録なので、撮り直しオッケー。失敗も下手くそも、近所に響いてそれがライブ感となったりするのかもですが、大きい音で外に響くと「ああ、今日もやってるなぁ」という感じがあったわけですが、ライブのために譜面台が欲しいというと「覚えろ」という圧があり、3曲15分程度の演目を目標にとりまロビンソンを譜面なしで弾けるように練習したんですよね。

 俺の部屋から聞こえるのは来る日も来る日もスピッツのロビンソン。ミスらず上手く弾けるようになってゆくほど「機械が鳴ってるだけちゃうのか?」という野次が外から部屋に入って来る。そして何より大好きだったロビンソンに俺自体が飽きた。

 思い返すと、繰り返し聴いた音楽でも、ギターを楽器として選んでいる事からも分かるように俺は音楽のサウンド面に興味関心が強かったんです。

 ただそれが出来るようになると、ギター以外にも色々楽器は鳴っているし、作品としての完成度を上げるためにはギター1本よりもっと色々なサウンドの味付けをして、趣味ではなく仕事としてもうワンランク上げたいという欲求と、そしてそうして出来た音楽でも、時を重ねるとそこに込められた歌の歌詞のほんの一部が人の心に残るだけかもしれないなと思うんです。

 じゃあ自分の残したい言葉、伝えたい気持ちは何だろうというところがテーマになってくると、書けない。もともとが純文学的な葛藤だから。伝えるんじゃなくて自分自身が悩みもがいているさまを歌うのが大好きなミスチル桜井和寿の作風のひとつだし。

 まあ、"innocent world"と"Tomorrow never knows"撮ったので、次は「終わりなき旅」でも順番に行こうかなという感じ。コピーバンドと言われても古いと言われても、自分を掘り下げる行為。「高ければ高い壁の方がのぼった時気持ちいいもんなぁ」というマントラが心に深く刺さっているから、対戦型のゲームで全国大会を目指し何のためだか渡米までしたんですよね。今は低ーいハードルを自分のやる気に合わせてちょっとだけ上げられるかなぁ、という感じのモチベでやっております。

 ただまあ「終わりなき旅」まで来るとバンドが売れてサウンドが豪華になって、ミスチルの何処にストリングスがいるんや?と思うチェロやバイオリンの四重奏みたいなオケが入っている歌なんですよね。ギターでどうしろと?と思うですけど、これも持論を展開すると、豪華なオケで良い音楽になったものでも聴き込むと入って来て、歌が心に入ったら、ギター1本で歌になってもまた聴けるんです。

 けど、初めての人に向かってそれで入って行くか、と考えるとダメぽかもなぁとも。


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