ストIIの対戦に仁義があるという話

 こんにちは!カーメンこと宮澤郷介です!最近ゲームはゲーセンでなくPS2です!

 何故に対戦格ゲーなのにPS2で独りでするのか、というとやせ我慢ですが、ゲーセン代を貯金したらなかなかにバカにならない額になるということで、お金優先です。

 もうそれでそれ以上の話は無いのですが、ゲーセンで夢中で遊んだ過去があり、あの熱狂の正体は何だったのか個人的に振り返って分析するわけです。独りじゃどうしてつまらないか、あるいはどうすれば独りでも面白いかという裏がとれるので。

 俺はストIIをダルシム、ガイルで遊びましたが、ダッシュの出る前末期はリュウやザンギなどの弱キャラを前に出していました。ナメていたんです。弱キャラでも勝てると。そして、そこには技がありました。

 19の時いちど高卒でゲーセンバイトになりました。家の近所のアイオーと大阪日本橋のアルファビームの掛け持ちでした。特にアルファビームでは店番と掃除をして、仕事が終わってからお給料から50円玉を出して店でゲームを楽しみました。ここは近所の店では地元の愚連隊がつるんできて「なあ、ちょっとゲームさせてくれよ」となって、店のカギでサービスクレジットを出してタダゲーを要求されるのを断れなかったという事案もありますので、とりわけ今回の話はアルファビームでの自腹ゲームの話。

 大阪日本橋には他にもフェラーリ、ファンタジアン、セガ難波アビオンなど近くのゲーセンがあり、他店からもアルファビームのしていることはサクラ営業ではないかという話はありました。そこに「5時まで勤務して、もらったお給料で自分でゲームしているんです」と返すと「なんやお前カバチタレか?」とこう食い気味に脅されても毅然としていると、周囲のゲーセンにもゲーマーのゲーセンバイトがどんどん増えて、ファンタジアン、道頓堀カマロなどで勤める他のゲーセンの店員を合わせて店同士でお金をどんどん回すようになりました。脱法サクラ営業だったと思います。

 しかし、そこにはお客さんの「ゲーム台をひとりで遊ぶより対戦型の方が面白い」という間違いないニーズはありました。脱法営業の言い訳を承知でいくと、接客業なわけです。50円を取る以上はスポーツのように対戦を深めて真剣にやる。

 実はこの頃バーチャファイター3が出て大盛況だったのですが、追うようにカプコンもストリートファイターEXというストIIをポリゴンキャラにしたゲームが出て、自分は全然やらなかったのですが、見た目はアレですが、コンピュータが賢くて面白かったらしいです。盲点でした。カプコン社はちゃんとプログラムで接客していた。

 しかし、ポリキャラはまだイマイチなグラフィックだった頃にちょっと古い台となったカプコン2D格闘をやる変な会はしばらく続きました。

 それが変わったのは、俺がゲーム以外の就職を取ってからです。非正規だけどニートやゲーセンバイトと比べると月給制で働いているだけで比較的に恐ろしい金持ちですから、そのカネでPS2を買うなら分かるけどゲーセンに来られても迷惑だったようで。

 そこからプロゲーマーの話も出て、そして最近までプロとは勝って賞金を得るのが大目的という風になると、店と客として対戦に満足があるかという接客の視点は失われ、二人で対戦して勝った方が偉いという価値観に完全に上書きされてしまうわけです。

 趣味として娯楽として接客として否定的だった反則技も競技ルールとしては反則ではなく、完全に悪役レスラーになり切るくらい勝ちを目指して、それで敗着でゲーセン代を惜しんでプレステで遊ぶようになりました。もともとが仁と言っても騙し取りの50円だったわけで、それが真剣勝負に変わったら潮目も完全に変わってしまった。

 しかし、最近では投げハメもオリコンも何でもアリでも独りで遊んでいますが、確かに真剣勝負の中にそこでしか味わえないものがあるとしても、相手の力量をゲーム中に推し量って、それなりの面白みやゲームの旨味を与えてその上で勝ち負けの差額で商売するというのではなく、勝ったら偉いでそれならパーフェクトで良いかというのは、勝負の旨味という意味で毎月あるようなゲーム大会でも名勝負たるものはわずかで、それは映像になってパフォーマンスの域になっているけれど、ゲーセンには下手な客でも楽しめる「遊び」があって、騙しとはいえ50円を払うに値する旨味はあったと思います。

 その50円の勝負の旨味を与える適量の匙加減こそが人が二人で対戦するゲームの仁だと思うんですよね。ただ、50円ではともかく2回やったら100円で店によっては1回100円で、メロンパンかあんパンくらいは買えるわけで、バター薫るメロンパンでもスーパーでは「中身がスカスカ」として売れ残り、あんこの入ったあんパンが88円のセールで売れてゆく様を生活しながら毎日見ていると、いくら面白くてもストIIの対戦1回50円はその面白みよりお金の方が高いかも知れないなと天秤にかけます。

 関西のストIIの聖地はもともと長瀬UFOで1回20円だったし、日本橋で俺が店員していたアルファビームのそばには1回10円のフェラーリがあったので、もういちど冷静に考えると、50円は金持ち客のためのイージーモードだったわけです。

 まあ仁義というとそうかもだけど、騙しと言えば騙し。これは人の心の満足に着目するかお金の移動に着目するかの視点の違いから生じる問題だと思います。面白さというものは買うものではなく、自分で感じるものだとすると、わざと負けることで客が面白いと思うという所で心理を操って騙しているわけです。

 俺の今の答えはその面白さは騙しで、そこそこ勝っていると思っているお客はお金を取られているだけで、真剣勝負になったらちっとも歯が立たないという事を冷たく悟らせて、お金はそれ以上取らない方が本当はお財布に対して優しいという考え方。

 しかし、世にはお金の余った人もいるし、ハメありの真剣勝負こそ我が土俵という風にもっと熱い勝負がしたいという人が本当にいるのか何なのか、ストVIの競技シーンとかはもはや俺には分からない世界だと思って、観戦はたまにするけど自分ではしません。

 その上であらためてSNSでの格ゲー論議を傍観していると、まだまだお客さん目線で「ゲーム機買ったのに満足できなかった」と不満を述べる人に「お前らも真剣にやれ」という風に攻略とかを語るという構図を見て取ると「ああ。すれ違っているな」と思うわけです。

 競技ポイントなどのレートが近い相手と対戦すると面白いから自動マッチングで近い同士ぶつけると加熱すると運営者は思っていても、ゲーセンで上手い奴が相手を読んで勝つ反対の行動で気持ち良く勝たせるというので50円を取っていたことを振り返ると、まだまだマッチングでもコンピュータ戦でも与えられない満足はあるんじゃないかと思うんですよね。

 そして俺自身も、優勝経験まで含めてもお金を払って上手い奴に楽しませてもらっていた側だったのかも知れないなと競技シーンからはぐれて独りで遊んでそう思います。


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