代数幾何をもう1周することにした

 遊戯王レベル20達成でしばらく気が抜けた状態になっていた。

 それは小学校の算数から、受験でやった基礎解析と微積分に確率統計で裏打ちしている。数学が分かる人のゲーム攻略と題する前段階にはまずゲームを数的モデルにして捉える力が必要だ。カードに書かれた攻撃力や防御力は数字なので、数というとふたつの数を比較して「大きいほうが勝つ」くらいしか分からない人が多いのだが、トレカの場合デッキ枚数とドロー枚数と使用枚数と効果率(枚数変動率)などから確率統計に進化する。しかし確率統計以前にデッキ枚数でドロー枚数を割るという風に基礎解析的に数字を出してきているので、分からない人もいる。

 そんな俺は代数幾何が小学校の受験算数に毛が生えた程度で、授業以上にはやっていない。俺の年の受験では確率統計が出題されることが予測され、見事にその通りだったが、世の中では代数幾何こそが数学で、しかもその数学というやつは役に立たないものだと言われていたこともある。まあ、言う人がそばにいただけでどのくらいの数の人が言ったかは観測できないのだが、世論調査のデータの取り方はアンケート用紙を配って「役に立つと(思う/思わない)」の数を数えて雑誌や新聞に事実のように載せるという数字の使い方だ。

 それが俺がせっかく専門学校、バイト、独学、社会人経験で学んだことをプログラムにしてコピーして配ってしまったので、いわゆる「道具としての物理数学」のような賢い人にしか分からない実用数学が確率統計に関してスマホでピッと使える道具に成り下がってしまった。

 誰でも使えるようになるとオリジナルの価値も無いし、かといって孤高の存在かと言えばグループの真ん中くらいの成績値でズルさが足りず他者に利用されたわけで、そこに意地を張らずともスーパー行って弁当買ったら厨房の人を利用したかというと、もともとそういう商売だと割り切ってやっているかもだし、俺もコンピュータ技師として割り切りが足りなかったと思うので、もういちど代数幾何を勉強しなおすことにした。

 代数学の基礎は変数をXと置いて自然数や実数を使わずに関係式を書くことである。そして幾何とは代数学で示された関係式に実値を求めることであるというのが俺の解釈だが、電卓がある以上計算は不要で幾何というとグラフ問題であるという認識が普通だ。

 従って正弦定理と余弦定理と面積が三角関数の応用のひとつだが、値として何になるかというと不明三角形の「線分の長さ」「角の角度」「面積」の三択でどれかを求めることにしか利用できないと考えられている。

 ただ、俺はそれだけで数学がここまで発展したとは考えておらず、代数幾何の難問の題意というのは数式で示された何らかの考え方のヒントであり、それを理解できれば遊戯王がもっと強くなると冗談半分本気半分で取り組むこととした。

 まあ、アンケートでの世論調査を否定する俺であるが、ゲームに強いということを勝った負けたの二択ではなく勝利数を試合数で割った勝率を競うことに変換して、そして勝率だけに着目すると個々人の強さではなく総合点で勝った負けたをカウントするわけで弱い相手を見つけて勝ちまくったら勝率が稼げるという論理がアンケートとどれくらい差があるかというのに今更ながらにいささか疑問符は残っている。

 こういう風に、問題は強さを示す目的変数エックスを何に設定するかという話であり、人と数字はどこか相容れないというか、エックスであるがゆえに架空に成り立っている虚構なのかもしれないという思いもまた心のどこかに芽生え始めている。


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