今日はOSS開発をお休みしてMTG

 まあ俺はMTGに関してはプロツアー、景品ゲッター、ミニイベント荒らしなどをしながら会場規模が大きい時に優勝経験が無いものの、8人イベントでかなりの強豪が集まるアデプトという店があった頃にそこで勝って「あとは出場回数と運じゃないかな」みたいなことを遊び仲間からサシ飲みで言われた。

 まあパチスロも麻雀も競馬でも宝くじでも「運」と言ってしまうと思考停止ではあるが、思考して通じることが無いケースもありそこを際限なく考えるのも無駄にも思える。MTGに関して、トップ8くらいになるとデッキは体別して何らかのアーキタイプに分類されるし、その差も僅差で運で決着しているようにも見える。

 もしかしたら何かのイカサマもあるかもだが、本当に健全にゲーム研究として対峙して、そしてどんなイカサマが出来るかというのも思考実験としては踏み込むことがある。実際俺もプロツアーの上位卓で鉄爪のオークで相手の5/4クリーチャーをブロックするというズルをしてしまったことがあるが、そのレベルの相手でもそこでルールに気付かずか見逃してくれたのか、はたまた呆れてしまったか、審判を呼んで咎められることも無かった。

 そして、巷のテーブルで行われるマジックには子供のズルは付き物である。デッキを繰ってカードを引くわけで、子供同士でもズルはし放題。ただまあ、そういう子が8人トーナメントでも勝ちあがるかと言うと、参加料の1000円が無い。出ると強いのかもしれんがな。そのズルの良くあるパターンのアーキタイプのひとつが「エンチャントクリーチャーペタペタ」である。具体例としてカード名を挙げずとの、2マナ2/2クリーチャーの「灰色熊」より上位互換のカードは幾らでもあるし、それよりは数が少ないが+2/+2のカードも多い。公式大会としての記録は東野将幸の「憎悪」がゾンビについて20点というのを覚えている人がいるかどうか。負け方としては「剣を鋤に」とか「恐怖」とか、エンチャントする瞬間を狙っての「稲妻」で1枚のクリーチャーと1枚のエンチャントの計2枚を1枚の除去で失うわけで、ハイリスクだが、相手の手にそれが無いケースも考えると、賭けとしての分はある戦い方で、ましてそれにインチキが加わって、自分は初手にクリーチャーとエンチャント、相手の手札の除去はデッキの底という風に繰れたら、勝てるわけだ。確率という問題では無い。

 しかしまあ、それはそれで分かって、カードマジックというトランプ手品の種本を買って好奇心で読んで、人と一緒に奇術バーなどで酒を飲んで手品を見せてもらうとその抜群の手つきに酔いも回って魔法にかかったような気分になるのだが、自分でするとなると誰を相手にいついかなる時に披露するともしれず、ショー以外の使い道を考えながら実技としても練習するのは無駄に思える。まあ奇術師として食うなら別だが。

 それでも確率的に強いと主張して子供にズルで負けるのはまあ形無しではあるし、反対に勝率とかプロツアーなどの大きな話を持ち出さないと簡単なズルに負かされるのもシャクではあるので、よくあるズルであるエンチャント戦略も負け方としては除去であり、それよか勝率が高いとされるウィニー戦略はアンコモンやレアの「パイロクラズム」とか「神の怒り」に「地震」などで一掃されがちである。同じことなのだ。

 さらに「大型クリーチャー高速召喚デッキ」も派手で人気だが「暗黒の儀式」や「マナの棺」で「セラの天使」や「センギアの吸血鬼」を呼ぶのは1マナを5マナに増幅する場合カード3枚、3マナからだと2枚かかり、枚数上では2/2クリーチャーに+2/+2のエンチャントをするのと同じことで、瞬間を「稲妻」される以外はリスクも近い。

 そうすると、ウィニー戦略でありながら、実は2/2クリーチャーを並べて相手の大型には除去を打つという戦略よりもエンチャント戦略はサイズ合戦で勝つ可能性もあるわけで、結果手持ちの小型クリーチャーと中大型クリーチャーとエンチャントを見比べて、良い引きでの決着ターン数が最も短いケースに敵とのやり取りでネガティブを恐れ過ぎず、もともと確率が低くても子供でも勝つことがある出発点でのウィニー戦略なので、ペタペタ戦略も追加してその上で枚数アドバンテージや確率的なマナカーブの概念も放り込んで、先日よりもさらに満足のいく仕上がりとなった。

 速度も粘りも引きの良し悪しを加味した戦略性も、もうかなりの満足である。

 まあでも勝ち負け以外にも控えのカードに面白みを感じる幾多の要素が余っており、廃品利用として遊び方にはもっと幅があって良いとも思っている。ただ、子供のズルを見習って、金持ちデッキが貧乏デッキに勝率で勝ったとか大会で勝ったと言ってもひと試合単位では負けることもある惨めさを思いやると、もっとカネを掛けて強くするのではなく、子供の工夫の利のある部分も自分の好みの戦略の趣味と掛け合わせて、今のデッキになっている。

 ひとつの勝ち方の確率を極限まで高めるのでは無く、勝てる初手の組み合わせの数が多くなるように計算して作っている。もし自分にも手札を自在に操る能力があれば、少なくとも序盤から五分以上になるように決着ターン数が短くなるように組んである。

 しかしそれ一辺倒で勝ちパターンが割られて対策カードを絞られることが無いように、その上で弾き合いとなった時に勝つ枚数アドバンテージ戦略と、それを可能とするレアカードが入っている。ただまあ、山札40枚とも自在に操れたら、このゲームは山札の上と下にほとんどの土地とほとんどのスペルを二分して繰られたら終わる。

 もちろん、丸一日とか長い時は二日となるトーナメントで、事故で死ぬ人は多い。ただ、決勝までの努力のうちトランプ奇術ではなくゲーム理論や数学計算で自分がもうそれ以上は運と言い切れるところまで出来ていたかと言うと「まだあった」という発見。

 20点までの積み上げの足し算をターンという回数に分割して、それをマナカーブと手札の組み合わせで考える。もちろんそこに邪魔が入ることでゲームとなるのだが、そこまで相手の手札が良い時にそれを引かれることを恐れるばかりではなく、確率的には自分の引きが良くて相手が悪い時と自分の引きが悪くて相手の引きが良い時、どちらも引きが悪い時とどちらも引きが良い時の4パターンに大別される。そしてマナカーブというのは引きが最もよくなるデッキの配分の考え方である。

 これを全部計算する人がどれくらいいるだろう、と考えると、今の自分は昔の自分よりMTGに間違いなく強くなっている。しかし店で景品を勝ち取って閉店から移転につながって、追いかけないと景品をもらえない以上は近所に店が成り立たないという意味で、既に十分勝っているのだろう。追って勝つのは相手の罠の中だろう。

 そうして運で片付ければ済むMTGにOSS開発を一日休んでどっぷり実験をしたわけだが、これが俺にとってのほどよい休息になっているのである。混沌としたものが随分と整理されてきたと思う。人は混沌に対しては運命以外に抗う術を持たない。

 しかし手持ちのカードがいい加減古くなってきたので、新版を仕入れる選択肢もあるのだが、2021版のセットで何割のカードが自分のデッキに入れる候補となっただろうと思うと、実に1割程度のカードにしか興味を示さないマジック古参兵なのである。


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