あけまして803円

 紅白を最後まで見て年を越し、さだまさしを見ながら眠りにつきました。

 起きて年越しそばに買っておいたどん兵衛天ぷらそばっを朝食としてカプチーノを入れ、口にすると昨晩のコップ酒の日本酒が底に残っており、とても不思議な風味の飲み物を味わいながら、神妙な気分で過ごしていたのです。

 しかし、よく考えると年末に食料品を買い込んでおらず、おせちの予約もしていなかったから、お正月の食物がカップラーメンとレンジご飯とシーチキンと納豆くらいしかない!スーパー閉まってる。やばい!これは会社のそばの焼き鳥屋がヤバいくらい旨いみたいなヤバいの現代的用法ではなく、まあ古典にもヤバいという単語はなく昭和期にヤクザ屋さんの香りがするという俗語から出た「ヤバい」はピンチの意味になったのだが、その意味でヤバい!

 だがそこは天下のコンビニエンスストア。日本の物流を変えて若者の消費意識の根底にもなっている、ファミリーマートセブンイレブンはなんとこの田舎町でもお正月から営業しているのだ。「助かった、これでマトモなもん食える」

 甘かった。お正月は他の店が開いておらず、コンビニの棚はガラ空き。まばらに並んだパンやおにぎりを眺める。とりあえずこってりしたマヨネーズベーコンのパン。チーズケーキ、鮭のおにぎりを手に取る。だが、腹は減っている。他の客はまばらでお昼時は過ぎている。「買っちゃえ!」残った昆布のおにぎり、6本入りのスナックパン、そしてレジでファミチキを頼む。803円。小銭はなくお札で払うのだが、銀行も閉まっておりレジのお釣りも恐らく有限だ。

 それでも俺はTポイントカードでさらにポイントをがめつくもらう。お会計をすませると後ろにも人がいた。帰り道に少し買いすぎたかと罪悪感がよぎる。残っていたものはパスタ、サンドイッチ、おつまみ、カップラーメン、中華まん、そして後続のファミチキである。ファミチキ無敵。

 まあ、ファミチキがあるから大丈夫だろう、明日になれば多分スーパーも初売りをするだろう。イオンモールまで行けば確実にお正月から開いている。そこまで行くの面倒なのよ。ごめんね後ろのお客さん、そしてありがとうコンビニ。

 こうして俺の2022年は幕を開けたのである。あけまして803円。財布の残金は13197円だ。


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