俺はゲームボーイの遊戯王でコンピュータ相手に1000勝した。それでブルーアイズとサンダーボルトを入れたデッキで近所の子供と対戦して勝っていたが、いちどだけ負けてしまった。ゲームボーイのセーブに勝敗が記録される仕様で完璧なデータに傷がついてうなされた。そこから勝ちを重ねても1敗というデータを消すことは出来ないからだ。
遊戯王でなくマジックザギャザリングの話になるが、まず買ってすぐに奈良高専に通うゲーセン仲間と何度かやって、だいたい勝っていたが最後に俺が緑だったのでと黒の緑対策カード「デスグリップ(死の掌握)」を食らって負けたのは覚えてる。
それから買い足したりもらったり交換したりで大阪のショップでもすぐ勝てた。強い人に囲まれていたけど、だいたいみんなマンガ読んだり麻雀をしていて、始めたばかりの俺と誰かが遊んで他の人はマジックザギャザリングを数ある遊びのひとつと考えていたようだ。俺が誘われたのはストリートファイターが強いことで話になったからだった。だから、その仲間と大会の場で対峙した時というのは雰囲気が違って覚えている。
他にはあとひとつで優勝というのを逃した試合も覚えている。時のらせんブロックで黒ギルドメイジで削り始めて、あと1回削っていればテトラバスで勝ちだったが、その前のドローが悪く自分のライフを守るために作戦変更したのが裏目に出た。
トレカでは相手の手札も自分のドローもブラックボックスなので後から考えてあの時ああしておけば勝てたのに、というのは判断が付けづらい。詰めデュエルを逃してしまうのはミスだと言えるけど、その1ターン前の判断に対しては正解とは言えないこともある。そこに拘って「もしああしていれば」がいつまでも悔やまれたのが、DSで遊戯王を遊んでいると似たような実戦経験が増えるので、あそこでああするだけでなく、もっと前から準備からデッキから見直せることは実はいくらでもあったのではないかと巻き戻って考える頭になってきた。
あとちょっとを取り逃したという感覚は実はもっと根っこから色々と改善できる。
そしてゲームボーイの遊戯王も改造すれば手札1枚でライフ半分以上の火焔地獄という隠しカードを40枚というデッキを作ればジャンケンに勝ったほうが先攻を取って2ターンで終わるということを知った。
どこかの居酒屋でというか鳥貴族でガラケーの遊戯王の話を振ったらマジックザギャザリング仲間が「遊戯王って焼きが最強って聞いたけど」「いや全然違いますよ!」「なんか話が合わないなぁ」「黒魔術師クロンと溶岩魔神ラヴァゴーレムの本体ダメージ系なら分かるんだけどなぁ」とやりとりしたの、あれゲームボーイの火焔地獄だったのかもな。
普通にゲームボーイ1台で遊んだらブルーアイズ1枚とサンダーボルト1枚しか手に入らないので、それを引いたもの勝ちみたいに考えていたこともあるし、仲間内でブルーアイズとサンダーボルト持っていたの俺だけだったけど、それでも負けてしまった試合は今でも覚えていて弱いゾーンを引いた時相手が幻術士ノーフェイスを1ターン目に守備表示で出して生き残って2ターン目闇エネルギーからこちらは強いカードを何も引けずになし崩し。
あの試合を今思い出すと1000勝の道中で対戦自体が面倒になって早くやっつけたいとデッキを攻撃的にしすぎていたんだよな。まあ、そこをペースアップしなければ800試合くらいしか出来ていなかったかもしれないので、まだやり込みたりなかったのかなと思う。勝って兜の緒を締めよで、楽勝だからもっと早く勝って勝数を伸ばしたいとどこか焦って負けた。あの頃より気長になった。
DSの遊戯王はコンピュータがかなり強く、序盤からでもコンピュータに負けることはある。それで何敗かしてみると、昔のゲームボーイのときの負けの強烈な記憶が薄まってゆく。そもそもゲームというのは勝ったり負けたりするもので、ドラクエのようにあらゆる戦いに勝ち続けて魔王を倒すまで何百連勝というテレビゲームでぬるま湯に漬けられていたのだろう。