2年かければ

某所でゲーム会社の会社員が会社の休みの日に家でコツコツゲームを作って2年で1本ゲームを作った話があって、専業プロでも2年かと。俺はドラクエもどきを創造性も何も無い習作を作り始めて1ヶ月と半分くらいで音を上げた残骸があって、日付を見ると36歳の誕生日で手が止まったようだ。そればっかりをいつまでやってられるんだろうと自分が信じられなくなったんだろうな。つまり自信を失くしたわけだ。


しかし俺には今日だって明日だってあるわけで、その気を取り戻したらやがて何年かかけてドラクエもどきをバージョンアップするかもしれない。俺も会社員としてのゲーム作りに手応えを見いだせなかった。スケジュールがあって分担があって、ひとり分の仕事を充分に荷が重いと思いながらもそれは全体量からすると、やはりひとり分として相応な仕事量なわけで、もしひとりで全部作るとなると・・・卒倒する。ゲーム業界に来る前にソフトハウスで作っていた業務ソフトよりプレステのゲームのほうがえげつない仕事量だということを身を以て知ったわけであります。


ドラクエもどきのプロジェクトファイルは500MBくらいあるので、フロッピーのパソコンでは物理的に出来ない。ドラクエってどうやって作ったんだ、未来のパソコンを使ったオーパーツじゃないかと思えてくるが、俺の部屋にはその未来のパソコンがあるので贅沢言わずに打ち込んで行けばやがては出来る見通しも無いわけではない。500MB分の4KBほどを修正して手つかずでは無くなったわけだ。


ガウディのサグラダファミリア構想からすると俺のドラクエ後追い構想はせいぜいがノートパソコン2台くらいで完結する構想だし、骨子はもうできている。でもなんか面白くないんだよな。細かいところでどのへんがつまらないのか比べても自分でも分からないところもある。ゲームプログラマーになる前に学校で勉強初めて先輩にエミュレーター見せられたとき「なんかつまらない」と言って先輩に「どこが違うか全く分からない」と言われたとき「この人ダメだわ」と思ったものだが、俺も段々とそういう大人になってきてるんだな。


「ひとりで作りました」の背景には「これひとりって、この人すごい」という評価に対する邪念は拭いきれないんだろうけど、そうではなくて「俺はこういうの作りたい」というのがあって、会社だと個々人の意図が入り組むのでできないことをひとりの身軽さでこなす「ひとりで作りました」は格好良いよな。そうすると、それはひとりで無くて意思の疎通の取れた同人とかでも構わないと思うように気持ちが変わってきてる。自分の夢のために巻き添えに出来る人を探し始めてる。


変にひとりでこじんまりとしたモノ作りが出来るようになって、大学4年のワナビーを見て子供だなと思いながら羨ましくもあり、その羨ましく映っている部分を自分のカメラに収めてやろうという意欲が出てきてる。俺ももはやワナビーだわ。そしてそれでいい。ワナビーだから明日がある。レットイットビーは今日で終わりなのだ。


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